非正規雇用で収入が低い妻が「家事育児をやるのが当然」という雰囲気がある。女性自身もその価値観に縛られているケースは多い(撮影/写真映像部・松永卓也)
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 夫婦共働きの家庭で「家事育児は夫婦で平等に分担している」と答える割合はどのくらいだろうか。夫より収入が少ないことを理由に、妻が家事育児を担うことを当たり前とする風潮がある。AERA 2024年7月22日号より。

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正規雇用の夫よりも、非正規雇用で働いている妻の収入が少ない。そのため夫婦間に上下関係が生まれ、家事や育児は妻がやることが当たり前になっている──。

 よく聞く話だが、なんかそれ、おかしくない?

 東京都に住む48歳の女性は、新卒で出版社に就職したが、20代後半で婦人科の病気が見つかったのを機に退社。フリーライターとして仕事を続けたが、子どもが生まれてからは思うように働けなくなった。当時、保育園は待機児童があふれ、主に自宅で仕事をしていた女性は優先順位が低いとみなされ子どもを預けられなかったからだ。近隣の知人の助けを得ながら、なんとか仕事を続けた。

 働く時間は、フルタイムとほぼ同じ。大変だったが、1人目の時はまだよかった。夫は「うんちのおむつ」も難なく取り替えるし、家事育児をやるほうだったので、夫が仕事から帰れば女性も一息つくことができた。ところが、2人目が生まれてからは状況が変わった。夫が昇進して毎夜帰宅が遅くなり、完全なワンオペになってしまったのだ。女性は当時を振り返って、

「ここで梯子を外されるのか、と。正直、『昇進なんかするな』くらいのことは思いました。でも、夫の方が収入は多いし、私は家でやる仕事が中心なので、自分が家事育児をやるのは当たり前だと思いました」

 と話す。黙って、すべての家事育児を1人でこなしてきたが、最近、それは本当に当たり前のことだったのか、疑問を感じるようになったという。

「結構きつかったですよね。夫より短時間とはいえ私も働いていたし、毎日が綱渡りでした。当時は日々の生活をまわすのに必死で考える暇もなかったけれど、今考えると『おかしいな』って思います」(女性)

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