AERA 2024年7月22日号より

 そんな小池陣営の様子を見て、「勝機あり」と踏んだのが蓮舫・前参院議員(元民進党代表)だ。立憲民主党を離党し、無所属で立候補。立憲、共産、社民各党との関係も「支援」にとどめた。しかし、国会質疑など蓮舫氏の政府・自民党に対する「攻撃性」は強い印象を与えてきた。共産党との連携にも自民党からは「立憲共産党」といった指摘が相次いだ。その結果、無党派層への浸透は伸び悩み、3位にとどまった。そこに吹いたのが、前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏が巻き起こした「旋風」だった。具体的な政策は明確ではないが、「古い政治を壊す」と繰り返した。SNSを駆使して、IT系、外資系などで働く若者らの支持を集め、蓮舫氏を抜いて次点を占めた。既成政党に対する不満の受け皿になったのである。

補選の当選2人のみ

 都知事選が終わり、菅氏が言うように、東京都については国政の場では話題にならなくなってくるだろう。ただ、都知事選と同時に投票された9カ所の都議補選の結果は別だ。各党が公認候補を出して争ったこの補選で、自民党は8人の公認候補を擁立したが、当選は2人のみで6人が敗退。今の自民党の苦境を映し出した。

 裏金事件で役職停止の処分を受けた萩生田光一前政調会長の地元である八王子市では、萩生田氏が推す自民党候補が諸派の前職に惨敗。自民党と立憲民主党の新顔同士の一騎打ちとなった足立区では、大接戦の末、自民党候補が競り負けた。自民党や公明党が強い地盤を持つ足立区で自民党候補が敗北した原因は「裏金問題以外、考えられない」(自民党の東京都選出国会議員)だろう。4月の衆院補選島根1区で、自民党の新顔が立憲民主党の元職に敗れた選挙の再現ともいえる。

 都議補選は、裏金事件で自民党に吹き荒れた逆風が収まっていない現実を改めて示した。それは、裏金事件の真相解明や再発防止策としての政治資金規正法改正に明確なリーダーシップを発揮できなかった岸田首相への逆風でもある。

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