花束を手に笑顔の小池百合子氏
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 元女性キャスター同士の激突に若手の元市長も参入してにぎやかだった東京都知事選は、小池百合子知事の勝利で終わった。自民党は目立たない形で「支援」した小池氏の当選に安堵している。だが、同時に行われた都議補選は派閥の裏金事件に対する国民の不信は収まっていないことを如実に示した。9月の総裁選で岸田文雄首相に代わるリーダーを選び、続く衆院の解散・総選挙で政権を維持できるのか。裏金事件で露呈した三つの欠陥を抱える自民党の苦境が続いている。AERA 2024年7月22日号より。

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 反自民の都知事候補として名前が挙がったことがある菅直人元首相(衆院東京18区選出)は、都知事選の政治的な意味について、こう話していた。

「国政の中で都知事が注目されるのは選挙の時だけだ。選挙が終われば、47分の1の存在になってしまう」

 都知事選は時に、国政にも大きな影響を及ぼした。例えば1991年。当時の小沢一郎・自民党幹事長は、現職の鈴木俊一知事に対抗してNHKのキャスターだった磯村尚徳氏を擁立。鈴木氏を支援する自民党都議らと対立して、自民党は分裂状態となった。結果は鈴木氏が圧勝し、磯村氏は惨敗。小沢幹事長は辞任に追い込まれた。それでも選挙が終われば、東京都の問題は47都道府県のうちの1自治体の問題となる。小沢氏も幹事長退任後に最大派閥・竹下派の幹部として影響力を増した。菅氏の見立ては、そんな構図を分析したものだ。

 3選をめざす小池氏に対して、自民、公明両党は、それぞれの党本部が正式決定する「推薦」や「支持」ではなく、両党が自主的に「支援」する形をとった。自民党の岸田文雄首相や茂木敏充幹事長、公明党の山口那津男代表ら幹部が小池氏と並んで演説する光景は見られなかった。

計算当たり3選

 小池氏にしてみれば、裏金事件で評判の悪い自民党と連携している姿は見せたくない。半面、自民党の組織票や公明党の支持母体である創価学会の基礎票は欲しい。結果的には小池氏の計算が当たり、当選を果たした。

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