「表紙」替えたとしても

 第三に自民党の各種政策が行き詰まっている。金融緩和を中心としたアベノミクスの限界は明らかなのに、それに代わる経済政策の全体像が示せていない。抜本的な少子化対策も策定できない。女性の働き方改革を支援することにもなる選択的夫婦別姓の導入は、自民党内の保守派の抵抗で進まない。

 こうした体質を引きずったまま、自民党は総裁選と解散・総選挙に突き進んでいく。各種の世論調査によると、総選挙ではいまの自公連立政権より立憲民主党などの政権を支持する意見が急速に増えている。

 岸田首相が劣勢覚悟で総裁選に突き進むのか、それとも岸田首相が出馬を断念し、後継をめざして候補が乱立するのかが、当面の焦点となる。総裁・首相という「表紙」を替えたとしても、総選挙では裏金を受け取った議員のうち50人程度が立候補するだろう。選挙が始まれば、テレビは「裏金議員」を追っかけて、土下座したとか、有権者から糾弾されたとかという映像を流すに違いない。「裏金選挙」となるのは必至だ。都知事選と都議補選で幕を開けたポスト岸田政局は、総裁選という自民党内権力闘争と政権交代をかけた解散・総選挙に向けて動き始めた。(政治ジャーナリスト・星浩)

AERA 2024年7月22日号

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