それに、アイドルで30歳というと年長のイメージですけど、芸能界の大先輩方とご一緒するとめちゃめちゃ若手なわけで、そのどっちの感覚もちゃんと持っていたい。まだまだ若いぞっていう気持ちと、自分たちが歩んできたものをしっかり経験値として生かせる感じと。今はそういう時期だと思っています。
――かつての百田は自分でも「頑なだった」と話すほど、仕事とプライベートを明確に分け、親しい友達や家族にさえ仕事の話をすることはなかったという。そんな不器用なまでの「覚悟」がももクロを国民的アイドルグループたらしめてきたのは事実。嘘やごまかしが嫌いな百田が、人生の半分以上を芸能界で過ごしてきたこと、そこに苦しさはなかったかと聞くと、意外な答えが返ってきた。
成長を実感する瞬間
百田:私、“ファンタジー”ってすごく好きで。「この世界はもしかしたら全てがファンタジーなんじゃないか」と思う時がある。だからソロコンサートはファンタジーな世界観を作ったりするんです。この世界そのものが非現実で、でもそこに立っているのは現実の私。そう考えると、なんか面白いじゃないですか。
今でも芸能界は夢みたいな世界だなって思います。何万人もの人が自分を見に来てくれるなんて、やっぱり夢の世界。でもそこに立つまでの勇気や努力はものすごく現実的なんです。夢と現実が常に混ざり合っている状態だから、ステージを降りると「今のは何だったんだろう?」っていまだに思う。
ただ、昔よりその世界を自分なりに生きていく、楽しんでいく方法を、経験の中で知ることができているなとは思っていて。なんだろう……昔よりも丁寧な走り方ができているってことなのかな。そういう時、ちょっと大人になったというか、成長を実感する瞬間でもありますね。
AERAで新連載開始
――8月からはAERAで連載を開始することが決まった。タイトルは「この道をゆけば」。各界で活躍する人物をゲストに迎え、歩んできた道のりを聞く「対談連載」だ。個人としては初の連載となる。作詞はもとより、ファンへのメッセージなど「言葉」に対してこだわりを持つ彼女が、連載を通じて果たしたいこととは。