AERA 2024年7月15日号

――その東京ドーム公演にサプライズで登場したのが、プロレスラーの蝶野正洋だった。ステージ上で「お前らは世界を笑顔にできるのか?」と百田に問う蝶野。「私、完全にスタッフさんにハメられたんだと思った」と当時を振り返って笑う。

百田:私の気持ちが揺れてることにスタッフさんもメンバーもみんな気づいてて、あえて蝶野さんを呼んだんだと。実際は偶然そうなっただけなんですけど(笑)。大勢の人の前でイエスかノーかを迫られて、でもあの時の私には「イエス!」と言いきれる強さがなかった。

 その時、ももクロのリーダーとしてもそうですけど、一人の人間としてそこに立たされてる感じがありました。よく映画で、無音でスローモーションになるシーンがあるじゃないですか。あの瞬間がそうでした。

 それで、もはや諦めたんですよ。諦めて全身に力を入れて踏ん張った。わかりました! こんなグズグズ迷ってた私が悪かったです! すいませんでしたビンタお願いします!って。そうやって、何かを自分の中で振り切った瞬間、音が戻って景色が動いて……蝶野さんはビンタではなく、優しく頭をなでてくれた(笑)。それまでの迷いが、新たに走り出す覚悟に変わった瞬間でした。

「年長」であり「若手」

――そんなももクロは昨年、結成15周年を迎えた。百田をはじめメンバー全員がアラサーになり、女性アイドルグループとして未踏の地に立っている。

百田:注目のされ方の種類がちょっと変わってきますよね。「アラサーに見えないタレントランキング」に名前が入っていたり(笑)。確かに、年々周囲の環境も変わっていくし、女性アイドルの世界にはそれが多い気がします。

 でも、プレッシャーみたいなものはあんまりなくって。ほんと気づいたら30歳になっちゃってた感じですし、気づいたら15年経っていた。30歳を目指そう、15周年を目指そうってやっていたら、もうちょっと違ったと思うんですけど、私たちは常に目の前のことをやってきたから。

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