[撮影:蜷川実花/hair & make up Chie(KIND)/styling 滝沢真奈/costume ヘンネ アミティエ・クレディール マサエ マスタニ セルジオ ロッシ]
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 7月12日に30歳の節目を迎える百田夏菜子さん。リーダーとして、ももいろクローバーZを牽引してきた“茶畑のシンデレラ”は今、女性アイドルの新しい生き方を示すアイコンとなる。AERA 2024年7月15日号より。

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――ももいろクローバーZのライブのエンディングに必ず流れる曲「あの空へ向かって」。その歌詞にこんな一節がある。

〈希望信じて進めば/どんな壁も乗り越えられる/ほら前を向いて歩き出そう〉

 常に全力、がむしゃらに前だけを向いて壁を乗り越えてきたももクロ。その先頭にいたのが、リーダーの百田夏菜子だ。

百田夏菜子(以下、百田):デビューしてからずっと走り続けてきました。でもふと気づいたんです。夢中になって前だけ向いて走っていて、途中で大事なものを落としている可能性もあったなって。一度落ち着いて状況を把握しなきゃと思いました。

――「明確に自分の中でちゃんと立ち止まろうと感じたのは、メンバーが抜けた時」と百田は言う。今から6年前。メンバーの脱退と同時に、結成10周年記念の東京ドーム公演が迫っていた。初めて彼女の中に「このままでいいのか」という迷いが生まれた。

百田:初めてももクロが東京ドームに立たせてもらえる、しかも10周年のタイミングで。こんなにありがたいことはないって自分の中で思いながらも、もう一人の私はそれに怯えていました。

 ライブ前、いつものように円陣を組んで気合を入れて、そのあと上がっていく階段がすごく怖かったのを覚えています。ステージに出たら、めちゃくちゃ非現実的なんですよ。迷ってるから、余計にいつもの景色が非現実的で。こんなに人がいてどういうこと?みたいな。

世界を笑顔にできるか

メンバーが抜けたことで振り付けも全て新しくしていくっていう時だったんです。今まであったものをすごいスピードで変えていく。そのことに、体は動くんだけど、気持ちが全くついていかない。「目の前のお客さんを楽しませたい」という気持ちと、「大事なものを置き去りにしたまま走り続けていいのか」という気持ちと、心の深いところでとても複雑な状態でした、あの時は。

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