事件が起きたのは、敗れたナインが球場の外に出た直後だった。突然4、5人の男たちが近づき、そのうちの1人が「監督、お前が悪いんだ。どう責任を取る」と言って、拳で今任靖之監督の両頬を殴打した。選手たちが「監督の責任じゃない」と周りを取り囲んでガードすると、男たちも姿を消した。

 県高野連の事情聴取に対し、当初学校側は「殴った人物が父兄か一般のファンなのか、まだ特定していない」と回答したが、その後、再調査の結果、「野球部員の父兄」という内容の報告書を提出している。

 当時今任監督も「高校野球教育のひとつ。結果だけで殴られてはたまらんですよ」と語っていたが、これも応援する側の“暴走”が招いた残念な事件と言えるだろう。(文・久保田龍雄)

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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