見た目や容姿で人を判断する「ルッキズム」。SNSの発展で若い世代を中心に「見た目が何より大事」という価値観が広がっている(立体イラスト:kucci/写真:高野楓菜)

──日常で、自分や周囲の友人が見た目を意識しているなと思うことはありますか?

鷹木琉生(沖縄・昭和薬科大学附属高校2年):コロナ禍で感染対策としてマスクをつけていたけれど、今は顔を隠すためにつけているという人も多いです。

東:中学時代にコロナが広がって、「マスクをしていたときのほうが自分の発言だけを見て考えてくれている」と感じるようになりました。それもあって、高校に入ってからもマスクを手放せないです。

S:私の学校は私服登校で、高校生では髪色や髪形も含め、自分を表現する場が広がるんです。他校の友達の話を聞いていると、制服や髪色が指定され、顔や体形以外の自己表現をする場所が少ないというか……。「多様性」と言うけれど、それを認める環境は整いきれていないように感じます。

──学校内で多様性を認める環境が広がれば、ルッキズムの問題も変化すると思いますか?

東:学校の生徒総会をきっかけに髪染めがダメな理由を先生と話したことがあります。そのときに「大学受験に不利になるから」と言われたことがすごく印象に残っています。でも、髪を染めている大学生ってけっこういますよね?

ケイ:僕の学校も髪を染めるのがダメで、みんなは染めてもいい高校に憧れたりしています。ダメな理由は「校則に書いてあるから」で、校則を変えないのは「伝統だから」って。そのとき、髪の毛を染める高校生に対する偏った考え方がまだ世の中にあるんじゃないかと思いました。

鷹木:僕の学校は、「本校の生徒にふさわしくない格好」だから髪を染めるのもメイクもダメなんです。「ふさわしくないイメージ」を学校がどう抱いているのか気になります。

──自分を表現する手段として、見た目や服装を大切にするのはいいことですよね。一方で、見た目にとらわれすぎてしまうこともあります。

松本未來(静岡県立下田高校1年):この座談会に向けて、ルッキズムの記事を読んで、友達と軽く話したときに「みんな考えすぎじゃない?」っていう感想がありました。なんだか深く考えすぎているんじゃないかな、って。

鷹木:僕の周りでは、記事に共感するという意見を持つ友達も多かったです。周りが見た目のことを気にしていると、自分も気にしないといけないような気もしてきますよね。

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