天皇、皇后両陛下と国王、王妃は贈り物を交換した。国王からはスコッチウイスキーがペアのタンブラーと共に、王妃からは扇子が贈られた。天皇陛下からは国王へは輪島塗の漆器、雅子さまから王妃へは佐賀錦のバッグがプレゼントされた。佐賀錦は佐賀の鍋島藩から生まれたといわれる伝統的な高級工芸品。カミラ王妃は晩餐会のときにさっそくバッグを手にした。雅子さまはすぐに気が付き、話が弾んだそうだ。
国賓としての3日間を終えた天皇、皇后両陛下は、国王、王妃とバッキンガム宮殿の玄関で別れを惜しんだ。その様子は「まるで旧友のよう」とイギリスのメディアから描写されたが、チャールズ国王もカミラ王妃も、雅子さまの両肘をとって励ますようなしぐさを見せた。
雅子さまは国王、王妃にチークキスをして別れた。
天皇、皇后両陛下を乗せた車が走り去るまで手を振り続けたチャールズ国王が、背を向けて宮殿への階段を上るとき、カミラ王妃が国王の背中をポンポンと軽くたたいたのが印象的だった。国王の寂しさを察して、慰めたかのようだった。
イギリス滞在最終日の28日、天皇、皇后両陛下は、かつて学んだオックスフォード大学に足を運んだ。天皇陛下はマートンカレッジ、雅子さまはベリオールカレッジに留学していたが、それぞれの母校を一緒に訪ね、街を散策した。
雅子さまは20代の学びの地で何を思われただろうか。
1993年の婚約会見では、「殿下にお幸せになっていただけるように、そして私自身もいい人生だったと振り返れるように努力したい」との印象的な言葉があった。それから30年以上が経った。オックスフォードを再訪して、この言葉をふと感慨深く思い出されたかもしれない。