こども家庭庁虐待防止対策課長:河村のり子さん

誠意もって相談すれば

河村:私は出産して復職した時に、両立ってキツイなと思う瞬間があったんです。そのとき職場の上司や同僚には洗いざらい状況を話して、自分としてはここまでは頑張れるけど、ここから先はきついっていうのを相談しながらやってきました。案外、人は誠意をもって相談すれば状況を理解してくれる。今、管理職の立場になって、部下には子育て中で時間制約があって曜日によって働くペースを変える人もいれば、テレワークを入れながら一定のペースで働く人もいます。昔に比べれば長期的なスパンで仕事を持つようになった。やってみれば、大体のことはできるんじゃないか、と。周囲に相談しながら、自己規制というか、諦めちゃう気持ちを払拭していくことが、自分にとって働きやすい働き方をつくるコツなんじゃないかと思っています。

白井:私は民間企業に移ってから妊娠したんですけど、上司の女性が「あなた産むの?」って言ったんです。それがすごくショックで。自分の中で「キャリアが終わる」って感じたんですよね。あの時は自分の中のキャリアの軸が決まってなかったから迷ってしまった。でも産んだ瞬間に、それが全部なくなったんです。自分の軸は「この子がいて幸せ」になった。両立もそこまで追い込まれずにやれたのは、家族の支援と、この軸があったからこそ。熱が出てお迎えで早退するときも、自分が行きたいから行くのだと思えた。出産する人生、子どもがいない人生ということも含めて自分が決めることだったのに、なぜあの時は他の人の“呪い”に乗っかってしまっていたんだろうってあとから思いました。

河村:私の場合は最初から軸は決まっていました。人の困難を少しでも解決できる仕事をしたいという想いで働いていて、このやりがいある仕事は続けたいけれど自分の生活や子どもを犠牲にしてまでは働けない。その軸を持って周囲を見渡したら、同じ想いの仲間がいたので霞が関の働き方改革のために提言をまとめたりできたと思います。

白井:それが大事だなと思います。その軸が決まっていたからこそ、主張できるわけですから。

小泉:私自身は、女の子だったからおとなしくしてなさい、自分の意見を主張するよりも周りに合わせなさいと言われて育ちました。伝える訓練をしてこなかったので周りの都合にふり回されてきた部分があります。だからこそ自分のロールモデルがあると主張しやすいと思うし、いろいろなロールモデルが必要だと思います。

暮らしとモノ班 for promotion
「更年期退職」が社会問題に。快適に過ごすためのフェムテックグッズ
次のページ