山田千穂『ずるい聞き方――距離を一気に縮める109のコツ』(朝日新聞出版)
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圧迫感がある「なぜ」の言いかえ

 7年ほど前のことなのですが、ある事件を左右する、とても貴重な写真が存在することがわかりました。まだ、他誌やマスコミはそのことを知りません。

 いち早く写真を入手するために、情報を握る方が営む飲食店に連日通い詰めました。そして、写真を入手し誌面に無事に掲載したことがあります。

 このときに、多用したのが、「どうしたらこんなに素敵なお店を出店することができますか?」「このあたりのことを教えていただけますか」の「どうしたら〜ですか?」「教えていただけますか」のワザ。

 とても温厚そうで、ゆったりと話す方だったので、いつにもまして「なぜ?」「なんで?」という問いかけを封印するよう努めました。

 声に出してみるとわかるのですが、「なぜ?」「なんで?」は「どうしたら?」「どうすれば?」より、文字数の差以上に早口になります。

 そもそも強い圧力を感じる言葉なので、相手の方のテンポやリズムから想像すると、早々に一線を引かれてしまうだろうと感じたのです。

 相手がものすごく早口の方で会話もタイパ(タイムパフォーマンス)思考のような方なら、もしかしたら「なぜですか?」と畳みかけていったほうが、相手も答えやすいかもしれませんが、スローペースで話す相手であれば、圧迫感を感じさせない姿勢で距離を詰めていくことが、警戒を解く秘訣なのです。

 こうしたやりとりを重ねていくうちに、閉店後に店主がおすすめのスナック、バーに連れて行ってくれました。

 そこでも、「こんなに美味しいお酒を出してくれるバー、どのように見つけたんですか?」と、このスタイルで質問をいくつか投げかけていき、相手の心も口も緩んだところで、「教えていただけますか。写真の出どころを」と。

 そして、写真の入手につなげていったのです。

忘れた相手の名前を自然と聞き出す

 久しぶりに会った人の名前を忘れてしまうこと、ありますよね。

 その場合、「お名前なんでしたっけ?」と聞くと大変失礼ですから、裏ワザを使います。

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名前を忘れた!そんな時の裏ワザとは?