ところが、それ以降、

投資用マンションを買わないか」

 と営業の電話が相次いだという。

 また、名刺交換をもちかける企業について、インターネット上にはこのような口コミが寄せられている。

「『新人研修の一環です。名刺交換をしてください』と言われて交換をしたら、2〜3日後に勤務先から電話があった。電話番号を着信拒否しても別の番号でしつこく連絡してきます」

 駅で名刺交換している人すべてがそのようなケースに当てはまるわけではないのだろうが、同じような経験がある人は多くいる。

これからの時期に最も多くなる

 一部では迷惑行為と受け取られている駅での名刺交換。不動産の業界紙の記者は、

「名刺交換は毎年恒例のようなもの。最も多くなるのは4〜5月。これからがピークです」

 と語る。

 大手の不動産会社で営業職の30代男性は、名刺配りについてこう語る。

「彼らは年収550万円以上をターゲットにしています。銀行がその年収以上でないと、住宅ローンを組みたがらないからなんです。だから東京駅近辺で帰宅途中の会社員や、繁華街で高そうなスーツを着ている人に絞って声をかけているのです。彼らも営業ノルマがある世界なので、結果を出していない人は、特に街中で“飛び込み営業”ならぬ名刺交換をして、その後に営業電話をするわけです」

 東京駅周辺には名だたる大企業が本社を置いており、関連会社も多い。必然的に高収入の会社員と名刺交換できる確率も高くなる。

 前出の国民生活センターの担当者によると、名刺交換をする相手は40〜50代が最も多く、経済力がありそうで、善意で受けとってくれそうな人が狙われるのだという。

 国民生活センターにも、名刺交換後に不動産投資の営業電話が相次いで困るといった声が届いているという。

 鉄道各社でも警鐘を鳴らす。東京メトロの広報担当者は、

「お客様よりご意見などをいただいた際に随時アナウンスを行っております」

 と話した。

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国民生活センター「名刺は個人情報の塊。むやみに渡さないように」