「映像化を円満に進めるため、原作者と脚本家がひざを突き合わせて話し合うこともあります。直接の話し合いの場は、トラブルを回避するための有効な手段です」(前出・ライツ担当者)
しかし、芦原さんのXによると、
「私達は、ドラマの放送が終了するまで、脚本家さんと一度もお会いすることはありませんでしたし、監督さんや演出の方などドラマの制作スタッフの皆様とも、ドラマの内容について直接、お話させていただく機会はありませんでした。ですから、この文章の内容は私達の側で起こった事実ということになります」
と説明している。
小学館と日本テレビは説明責任がある
前出のライツ担当者は、
「脚本の修正依頼も多くきているなかで、トラブルに発展する可能性を減らすという意味で一度は話し合うべきでした。テレビスタッフや脚本家ら制作陣営が、原作者の気持ちに沿えるかどうか。その点のリスペクトは必要不可欠で、そのための場は設けなければいけません」
と指摘し、こう続けた。
「なぜこのような問題が起きたのか、小学館と日本テレビは説明する責任があるはずです」
日本テレビは1月29日、ドラマの公式サイトで、芦原さんへのお悔やみの言葉を述べた上で、
「『セクシー田中さん』につきまして、日本テレビは映像化の提案に際し、原作代理人である小学館を通じて原作者である芦原さんのご意見をいただきながら脚本制作作業の話し合いを重ね、最終的に許諾をいただけた脚本を決定原稿とし、放送しております。本作品の制作にご尽力いただいた芦原さんには感謝しております」
とコメントしており、芦原さんの主張とは少し食い違いがあるようだ。
小学館は1月30日、プチコミックの公式サイトで、
「先生の生前の多大なご功績に敬意と感謝を表し、謹んでご冥福をお祈り申し上げます。先生が遺された素晴らしい作品の数々が、これからも多くの皆様に読み続けられることを心から願っております」
などとするコメントを発表した。脚本をめぐるトラブルについての言及はなかった。
(AERA dot.編集部・板垣聡旨)