早いもので、2024年も折り返しです。1月~6月にAERA dot.に掲載され、特に多く読まれた記事をジャンル別に、ランキング形式で紹介します。社会関係の記事の10位は「『セクシー田中さん』脚本トラブルで見えた実写版ドラマに生じる違和感の“正体” 芸能事務所との関係も」でした(この記事は2月1日に掲載したものの再配信です。年齢や肩書などは当時のもの)。
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漫画「セクシー田中さん」の原作者、芦原妃名子(本名・松本律子)さん(50)が亡くなったことに追悼と驚きの声があがっている。自殺とみられるが、原因はわかっていない。ただ、セクシー田中さんのドラマ化の過程でトラブルがあったことが、死亡が確認される数日前のSNSの投稿内容からうかがえた。原作とドラマで内容が変わるのはなぜなのか。そこには演出上の問題や、芸能事務所とテレビ局との関係性といった事情が影響しているようだ。出版社の編集者やテレビ局のドラマ担当者らに聞いた。
「ドラマ化の際に、原作者と脚本家がもめることはよくあります」
都内の出版社で漫画の編集者として勤務する30代男性はこう語る。
今回のセクシー田中さんのケースでも脚本をめぐり、芦原さん側とテレビ局、脚本家側との間でもめたようだ。
脚本家の存在意義を考えさせられた
セクシー田中さんは、累計発行部数が100万を超える人気漫画で、「姉系プチコミック」(小学館)で連載している。主人公の「田中さん」は、昼間は一般企業の経理部で働く地味なアラフォーOL。一方、夜はセクシーな衣装で踊るベリーダンサーの顔を持つ。そんな田中さんを中心に、まわりの個性的なキャラクターとの人間模様が描かれている。
日本テレビ系でドラマとして実写化され、昨年10月から全10話が放送された。主人公は俳優の木南晴夏(38)が演じた。
テレビドラマ版の脚本を1~8話まで手がけていた脚本家の相沢友子さん(52)は、ドラマの最終回が放送された12月24日、自身のインスタグラムで、
「最後は脚本も書きたいという原作者たっての要望があり、過去に経験したことのない事態で困惑しましたが、残念ながら急きょ協力という形で携わることとなりました」
と報告。28日には、
「私が脚本を書いたのは1~8話で、最終的に9・10話を書いたのは原作者です。誤解なきようお願いします。今回の出来事はドラマ制作の在り方、脚本家の存在意義について深く考えさせられるものでした。この苦い経験を次へ生かし、これからもがんばっていかねばと自分に言い聞かせています。どうか、今後同じことが二度と繰り返されませんように」
などと更新した。