腕時計の価格高騰やリセールバリューばかりに注目が集まることには違和感がある。語られるべきは、モノづくりの背景だ (c)2024 Watches and Wonders Geneva Foundation

 パルミジャーニ・フルリエは1996年創業と新しいブランドだが、マニアからの評価も高い。新作「トンダPFマイクロローター」は、秒針のない二針でかつ日付表示も省いたドレッシーさ。PR担当者は「ミニマルリッチな新作」と説明する。

 ベージュ、ブラウン、さらに はサーモンピンクの文字盤を持つ新作は、メンズにもレディスにも数多く提案されている。シンプルであるがゆえに、色づかいが大切。ファッションでも人気が高い、ニュアンスカラーの流行にも沿っている。

 レディスでは、やはり老舗ラグジュアリーブランドの新作に注目が集まる。まずは、数々のアーカイブを毎年進化させるカルティエ。今年の新作は、1900年代の初頭にルーツを持つ「サントスドゥカルティエ」をグラデーションのあるブラウン文字盤に美しく仕上げている。

「ピアジェポロデイト」は、ブランド創業150周年を記念して、1970〜80年代に人気の高かったドレスウォッチ「ピアジェポロ」をダイヤモンドセッティングの新作で発表。

 いっぽう、エルメスは、「エルメスカット」というまったく新しいコレクションを発表した。36ミリ径と小ぶりではあるが、丸みのある優美なフォルムはこのブランドならではだ。

腕時計は必要なのか!?

 最近では、ビジネスパーソンの読者から「スマホがあるから腕時計は必要ないのでは?」と問われることがある。そのたびに、「腕時計を身につけるのはマナーのひとつ」と答える。ビジネス相手との会議中に、スマホで時刻をチェックしていると、「他案件のメールをチェックしているのかな」と勘違いされる場合もあるからだ。

 アエラスタイルマガジンの読者に対するアンケートで「腕時計を日常的に使っているか?」を問うたところ、87%が「使っている」と回答している(24年3〜5月にWEBで調査)。このアンケート結果から見ても、ビジネスパーソンの多くが、やはり腕時計は必要だと考えているのがわかる。

 腕時計は、ビジネスシーンで許される数少ないアクセサリーといってもいい。賢く選んで、自分らしさをチラリと表現してみたいものである。

(アエラスタイルマガジンWEB編集長・山本晃弘)

AERA 2024年7月1日号

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