渋谷教育学園渋谷(東京):都心にある渋渋の校舎は地下1階、地上9階建て。決して広くはないが、明るく開放的な図書室は居心地がよく、放課後には勉強する生徒が集まってくるという(撮影/写真映像部・東川哲也)
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 2016年度に東大で推薦入試が始まって8年。渋谷教育学園渋谷中学高等学校(東京)は毎年、合格者を輩出している。なぜ、これほどまでに東大推薦に強いのか。AERA 2024年7月1日号より。

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渋谷教育学園 渋谷中学高等学校:高際伊都子校長/1996年の同校設立時に副校長となり、2022年から現職。「日々の生活の中に『自調自考』があります」と話す(撮影/写真映像部・東川哲也)

 東京・渋谷駅から徒歩5分。エネルギーあふれる街の中心部に渋谷教育学園渋谷中学高等学校(渋渋)はある。国内の難関大学にとどまらず、海外名門大への合格実績も誇る共学の進学校で、2016年度に東大の推薦入試(学校推薦型選抜)が始まって以来、毎年合格者を輩出していることでも注目が集まる。

 東大の推薦入試の募集定員は全学部合わせて「100人程度」。偏りを防ぐために1校あたりの合格者数が4人(男女各3人まで)に制限される中、渋渋は24年度入試でも法学部に1人、工学部に2人の計3人が合格した。

 なぜ、渋渋は東大推薦にこんなにも強いのか。

「わからないんですよ。毎年合格した生徒を見てきましたが、それぞれタイプが違います。あえて言うならば『東大のこの学科で学びたい』という強い意志と理由を、自分が腹落ちした状態で語ることができたということでしょうか」

 と話すのは、高際伊都子校長だ。

「生徒が望むような細やかな指導ができる『チーム渋渋』の態勢が先生方の中にある。都心ゆえ、校舎がそれほど広くなく、(物理的にも)教職員と生徒の距離が近いですから」

 と笑うが、校舎内を歩くと、詰め込み式でガリガリ勉強するスタイルではなく、「自調自考」をモットーに、興味あることをとことん追求する機会があふれていることがよくわかった。

 例えば「学びのオリンピック『SOLA』」。ここでは毎年、SDGsや少子高齢化、男女格差など社会問題について考える生徒有志によるイベントが開催され、国内外の中高生に参加を呼びかけ議論を深めて、発信している。

 高校1年生から2年かけて執筆する「自調自考論文」も興味深い。学校創立以来29年間続く取り組みで、テーマは「フィギュアスケートにおける『質の良い氷』の条件」「ネパール料理店の一般市場への進出の可能性」「古文教育における最善の授業方法」などバラエティー豊かだ。生徒たちは授業以外の時間に自分で調べたり観察したり、教員や卒業生のアドバイスを取り入れつつ完成させるという。

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