浦添商時代の神谷嘉宗監督
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 8月7日に開幕する第106回全国高校野球選手権。6月22日には全国の先陣を切って北北海道、南北海道、沖縄で地方大会も開幕した。近年は聖光学院(福島)が13大会連続、作新学院(栃木)が10大会連続で夏の甲子園に出場しているように、強豪校がある程度絞られている地域が多く、初出場は減少傾向にある。ただそれでもここ数年メキメキと力をつけているチームも確かに存在している。今回はそんな中から、この夏に初の甲子園出場を狙える新興勢力を探ってみたいと思う。

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 まず真っ先に開幕した沖縄ではエナジックスポーツ高等学院の名前が挙がる。「世界へ羽ばたくトップアスリートの育成」を目的に2021年4月に開校。硬式野球部は翌2022年4月に創部し、今年の3年生が1期生にあたる。チームを指導するのは浦添商や美里工を甲子園出場に導いた神谷嘉宗監督で、創部当初から県内でもその存在は話題となっていた。そしてこの春、沖縄尚学、興南という県内の二強と言えるチームを相次いで破り、見事県大会優勝を果たして見せたのだ。

 特にキャッチャーの龍山暖(3年)は入学直後から不動の正捕手として活躍しており、その強肩は高校生ナンバーワンの呼び声も高く、プロのスカウトも注目するドラフト候補である。また全体的に小柄だが脚力のある選手が多く、手堅い守備も持ち味で、春の九州大会では九州トップの強豪である明豊(大分)を相手に0対2と接戦を演じた。夏の沖縄大会でも優勝候補の一角であることは間違いないだろう。また同じ沖縄では昨年夏に県の決勝まで進出し、ワォーターズ璃海ジュミル(楽天4位)がプロ入りを果たした日本ウェルネス沖縄も有力チームの一つだ。

 強豪がひしめく関東で近年あと一歩のところまで迫っているのが昌平(埼玉)だ。1979年に創部と歴史は古く、それなりの成績は残していたが、本格的に県内でトップクラスの強豪となったのはここ数年である。2020年秋にはじめて県大会で優勝を果たすと、2021年夏は準優勝、2022年秋は優勝とその後もコンスタントに結果を残し続けているのだ。2021年に楽天から1位指名を受けた吉野創士も在学中大きな話題となっていた。現在のチームも昨年秋、今年春といずれも県大会で準優勝しており、春の関東大会では初戦で神奈川県大会優勝の武相を相手に8対0と見事な勝利をおさめている。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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愛知で初出場のチャンスがありそうなチームは?