さちこさんの変化を受けて、短気な夫も少し穏やかに変わってきました。
「自分でも変わったと思います。『できない』とあきらめるのではなくて、『どうしたらできるようになるか』という考え方になりました。前と変わらず、時間はないし、忙しい。でも、自分の中で『ここまでならできる』ということがわかるようになったんです」
転職先も決まり、自分らしいペースで働けるようになったさちこさんは、これからもっと長男と向き合おうと考えています。
「自宅でパーティーを開いたとき、ほとんどの料理を長男が作ってくれました。人が喜んでくれるのは好きみたい。これからそうやって長男が料理の腕を振るう機会を増やしていこうかな」
さらに、片づけによってすべてがボリュームダウンして心が軽くなったとも教えてくれました。
「家の中のモノの量が減ったというのはもちろんそうなんですが、ずっと心の中にあった『片づけないと……』という気持ちがなくなりました。片づけが生活の一部になって、やらなきゃいけないタスクではなくなったんです」
今の気持ちを一言で表すと、「穏やか」。そう話すさちこさんは、とても素敵な笑顔をされています。きっと前職を辞めた当時とは正反対の気持ちなのでしょう。
私は、片づけが「できない」人はいないと考えています。そういう人の多くは、片づけを「知らない」だけなのです。そのような人たちをサポートすることで、さちこさんのような笑顔が世の中にもっと増えるといいなと思います。
※AERAオンライン限定記事