実際、筆者の周りの20~30代は総じて、「何がいいのですか?」と質問してくる。特に子どもがいるファミリー層は、実家への帰省も家族旅行も主にマイカー利用だ。ちびっこを連れての電車旅行は、料金面でも、移動などの手間の面でもよいことはない。出張でもない限り、遠距離列車を使わないのだ。
それに引き換え、40代以上のシングルや50代以降の子どもの手が離れたミドル・シニア層は総じて熱い反応を示している。
JR東日本には、50歳以上が入会できる「大人の休日倶楽部」がある。50~64歳はJR東日本とJR北海道の切符(201km以上)が何回でも5%引き、65歳以上は30%引きになる。筆者も加入しているが、もともとは、友人との旅行で利用するために入会した。子どもの手が離れた夫婦、あるいは女子会旅行など、大人の休日倶楽部を利用するのは、もはや常識といっても過言ではない。
大人の休日倶楽部は、時期や地域を限定した割引切符サービス「大人の休日倶楽部パス」が人気で、例えば6/20~7/2利用のJR東日本全線5日間乗り放題のチケット代はえきねっと経由で1万8800円と圧倒的に有利だ。しかし、時期を決めずにチケット購入をするなら、基本的に、運賃割引は65歳以上でも3割引きだ。それを超える4割引きの優待割引券は50歳以上の旅行好きにはたまらない魅力だ。この世代は、何とか条件をクリアして「JRE BANK」を利用することで、割引で列車の切符を予約したり、めったに利用できないグリーン車に乗ったりできる。
これに対し、日ごろ遠距離列車に乗らない人には、何の魅力もないだろう。50万円以上を預けて、ビューカードの利用代金の引き落とし口座に指定して、優待割引券を受け取っても使わないなら、何の意味もない。JRE POINTを受け取れるメリットもあるが、それほどポイントがザクザク貯まるわけでもない。
最後のまとめ
豪華な特典で大注目の「JRE BANK」。注意が必要なのは、特典を受ける際にJR東日本の他サービスとIDを連携しなければいけないことだ。上記にそれぞれどのサービスとの連携が必要かは記載したが、特典ごとに連携すべきサービスが違う。またネットではなく、モバイルで連携しなければいけない場合も多い。今後、Suica経済圏構築ということで、このあたりの煩雑さは解消されていくようだが、口座を開いて、条件をクリアしても、ID連携が上手にできなければ意味がないことも覚えておこう。(経済ジャーナリスト・酒井富士子)