「うちの子の学校では脱ぐかどうか選択できるらしく、娘は今年も自分で判断して脱いで診てもらったようです。嫌悪感は抱いていませんでした」と語るのは小学5年の娘を持つ静岡県の女性(46)だ。
「パーティションで見えないよう配慮されていて、むしろありがたいなと思います。自分の時代は上半身裸で体育座りして保健室で待たされていました。担任の男の先生もその場にいて、とても嫌な気持ちになったことをよく覚えています。今は全員の前で裸になるわけではない。裸の方がきちんと診てもらえるだろうし、将来、産婦人科で男性医師のお世話になることもあるわけだから、医療行為として経験しておいた方がいい」
板挟みになる養護教諭
板挟みになっているのが現場に立ち会う養護教諭だ。
「正直なところ、この件に関して複雑な気持ちを抱えた養護教諭はたくさんいると思います。いろんなところで板挟みにあっていますから」と吐露(とろ)するのは都内公立小に勤める養護教諭の女性だ。勤務校では、今年度も上半身裸で学校健診を行った。
「子どもたちが不安な気持ちになるということはもちろん理解できます。ただ、そうせざるを得ないこともあるんです。服の上からでもいいよという内科医も多いですが、うちの学校医の先生は『上半身裸で診ることで防げる疾病もあるからちゃんと診てあげたい』と判断しているようです。強制ではありませんし、事前に保健だよりで保護者の方にもお伝えしています。裸になるかどうかのところだけ注目されていますが、丁寧に行いたいという考えからだということも理解してもらいたい」
一方、岐阜県の公立小に勤める養護教諭の女性はこう語る。
「勤務校の学校医さんは上半身1枚着用可としています。私は自分の体にコンプレックスがあったので、できるだけ裸になりたくない子どもの気持ちがわかります。校医さんの方針に賛成です。ただ、服を持ち上げて背中を見せることはないので、(背骨が曲がっている)側弯症は見つけられにくい気がしています」