沢田研二の魅力はシングル曲のジャケット写真からもあふれ出ている 撮影/写真映像部・高野楓菜 協力/歌謡曲BAR スポットライト 新橋

「MUSIC FAIR」(フジテレビ系)

 広く知られた2つのシーンの次は、スージー鈴木氏のとっておきのネタだ。

「もうひとつはあまり知られていないのですが、2001年の音楽番組『MUSIC FAIR』です。僕はたまたま放送を録画していたことで何度も視聴し、強烈な印象を受けました。

 この2001年は沢田研二が積極的にテレビに出演している年。NHKの朝の連続テレビ小説『オードリー』や、クイズ番組『クイズ!目からウロコ』(フジテレビ系)に出ていました。

 そんなころ、『MUSIC FAIR』で『A・C・B』という曲を歌ったのです。まずは沢田研二本人による歌詞が強烈で、ザ・タイガースとして上京したての頃を回想しつつ、 “トッポジージョ” “竹中労”“カムイ伝”などのフレーズが歌詞に並びます」
 

 スージー鈴木氏は、この「MUSIC FAIR」での『A・C・B』の歌唱を“復活宣言”と捉えた。

「復活宣言というかロックンロール宣言というか、これがよかったんですよ。歌詞の中に『歳は食ったけれど』『くたばっていなかった』とあり、まさに復活宣言。身体には少々貫禄が付いていましたが、それがまた自然体でよかったりする。

 この頃からライブに軸足を置き、75歳のいまもライブを精力的に続けていることが驚きだと思います」
 

「第14回日本レコード大賞」(TBS系)

 当時のテレビでは歌番組だけでなく、賞レース系の番組も数多く放送されていた。スージー鈴木氏が「歌謡史上に残る」と断言するのは、1972年の「第14回日本レコード大賞」だ。

「結果的には、ちあきなおみの『喝采』が大賞を受賞するのですが、最終候補となった歌唱賞のメンバーがすごい。歌う順で小柳ルミ子、五木ひろし、和田アキ子、ちあきなおみ、沢田研二という並び。

 生放送にもかかわらす、歌が全員、異常なほどのハイクオリティなんです。和田アキ子が『あの鐘を鳴らすのはあなた』で『人間ここまで声が出るのか』という感じで吠えた後、大賞を獲るちあきなおみの『喝采』の歌唱はもちろん完璧、そして最後に歌うのが、24歳の沢田研二。

『許されない愛』を絶唱するんですが、これがべらぼうに美しかった! 全身を使って歌唱する姿は見ごたえのあるシーンです。この歌唱賞5人の並びは、日本レコード大賞の歴史のピーク、もっといえば日本の歌謡界のピークと言っても過言ではない」

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あふれ出す魅力はなぜなんだろう?