会場に設置された給水所。レンタル用のボトルの大きさによって異なる料金を払い、返却時にはお金が全額戻ってくる仕組み(写真:越智貴雄/カンパラプレス)
この記事の写真をすべて見る

 7月26日から始まるパリオリンピック・パラリンピック。史上初の使い捨てプラスチック使用禁止の大会だという。どのように実現されるのか。AERA 2024年6月10日号より。

【写真】「金メダルを日本に持ち帰りたい」と語るプロサーファーはこちら

*  *  *

 2023年5月、パリ市のアンヌ・イダルゴ市長は、24年のパリオリンピックを「史上初の使い捨てプラスチック使用禁止の大会」にすることを発表、CO2の排出量も、過去のロンドン大会(12年)、リオ大会(16年)と比較して、半減させることを表明している。

 こうした環境への取り組みも注目されるパリオリンピック・パラリンピックが、いよいよ7月26日から始まる。「使い捨てプラスチック使用禁止」は、どのように実現されるのか。

 その予行演習も兼ねて昨年7月にパリで開かれた「パリ2023世界パラ陸上競技選手権大会」で、環境への取り組みを実際に体験したというライターの瀬長あすかさんに聞いた。

「事前に渡されたメディアガイドにもペットボトルの持ち込み禁止が明記。その代わり、メディア関係者にはリサイクル素材で作られたオリジナルのボトルやタンブラーが渡されました。会場内に設置された給水所で飲料水をこれにくんで持ち運ぶ仕組みです。ペットボトルの販売は一切ないので、選手、観客、メディア関係者ら全員が、こうやって飲料水を手に入れるという徹底ぶりでした」

 給水所は観客席に14カ所設置。マイボトルのない観客は、実質無料のボトルのレンタルもできた。給水所は空港をはじめパリ市内のあちこちにも設置されているため、観客の多くは手慣れた様子。待ち時間もほとんどなく、スムーズに飲料水の補給ができたそうだ。

 また、「ペットボトルを捨てる手間が省ける」という声があった一方で、一部には戸惑いも。

「試合中に、タンブラーに水をくみにいっている選手を見かけました。また取材エリアでタンブラーを手にしていたために、片手がふさがってしまった選手も。ストレスになっていないか気になりました」

 CO2削減対策としてほかに、観客向けの食べ物の牛肉の使用禁止など、環境に配慮したユニークな試みがさまざま行われたという。

「本番ではこうした試みも、さらにブラッシュアップされることを願ってます」

 ちなみに来年の大阪・関西万博も、目指すは持続可能。そのお手本としてのパリ五輪、よく見といてや。(ライター・福光恵)

AERA 2024年6月10日号