2024年度になり、大学の高校別合格者の大多数が判明した。中でも東大の科類別合格者の様相はどうだろうか。今回のランキングは、文科Ⅲ類の高校別合格者数で並べた。
文科Ⅲ類は、文学部を中心に、教養学部や教育学部に進む学生が多い。学部の特性から東大では最も女子率が高い科類としても知られる。
元々は文学部進学を念頭に置かれて設置された科類ではあるものの、近年ではどの科類からでも進学できる「全科類制」が進んでいることからも多様化が進んでいる。この枠を活用して経済学部に進む学生も少なくない。
科類別に見ると、どういう傾向が浮かび上がるのか。なお、東大の推薦入試は科類ではなく学部別で合格者を出しているため、本ランキングは一般入試の合格者のみを対象とした。
1位は開成(東京)の14人、2位は聖光学院(神奈川)の13人、3位は日比谷(東京)の11人、4位は麻布(東京)が10人で続いた。5位は豊島岡女子学園(東京)と浅野(神奈川)が9人で並び、7位は桜蔭(東京)、女子学院(東京)、湘南(神奈川)、灘(兵庫)が8人で並んだ。
上位10校のうち、首都圏以外から入ったのは7位の灘のみで、それ以外は全て東京と神奈川の高校が占めた。ここまで首都圏に偏っているのは、地方から進学する科類として、将来を見通せない面もあるのかもしれない。
また、豊島岡女子学園、桜蔭、女子学院と女子校が3校も入り、日比谷や湘南といった共学の公立校も入った。今年の文科Ⅲ類合格者の女子率は38.2%で、他科類と比べ突出して多い。進路選択も幅広いだけでなく、合格者の顔ぶれもさまざまだ。
文科Ⅲ類は、この自由度の高さもあり、近年文系では人気が高い科類となっている。かつては文科の入試合格者最低点は文Ⅰ>文Ⅱ>文Ⅲの順となることが相場であったが、24年度入試の結果を見ると、文Ⅰの331.0点に対し文Ⅲは331.1点で、わずかながら上回っている。入試偏差値でも、文Ⅰ、文Ⅱ、文Ⅲともに同じ偏差値をつけることも多い。
一方で、文Ⅲは文科で最も募集人員が多い科類であるため、文Ⅰや文Ⅱに自信がない学力層の受験生が多く受ける傾向もある。東大の多様性を象徴する科類として、今後も高い人気を集めることだろう。
(ライター・河嶌太郎)