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 なんと。それを知らせてくれればあたたかい気持ちで待てたのに。舞台裏を明かさず格好よく振る舞うところがSBI証券らしいが。

改築を繰り返した老舗旅館

 画面デザインについて髙村社長の回答を書く前に、知ってほしいことがある。SBI証券のデザインを煩雑すぎるという人もいるが、老舗ネット証券ならではの事情がある(かばうわけではない)。

 SBI証券は1999年10月にイー・トレード証券として創業した。今から四半世紀前だ。

 その頃のネット画面にサービスを上書きする形で発展したのが現在のネット画面であり、改築を繰り返した老舗旅館のようになるのは致し方ない面もある。

 他の主要ネット証券も同時期創業で、ちょっと奥に行けば平成初期の世界が広がる。

 最近開業したなら「ザ・令和」なデザインも可能だろうし、巨大IT企業でもあるSBI証券にすれば「おしゃれで見やすく作るだけ」なら朝飯前のはず。

 それが進まなかったのは、資産管理画面や注文画面などシステムの根幹に触れ、お金の流れに支障が出るリスクを避けてきたからではないか。

サイトを作り替えていく

 さて、平成のデザイン画面に関するユーザーからの「お叱り」に対し、髙村社長の反応は。

「わかりにくいとか、いろいろな機能を詰め込みすぎだとか、批判をいただいています。先日、スマホサイトを整理してすっきりさせたら、珍しく(?)お褒めの言葉をちょうだいしました。

 今後は操作性や視認性を意識して、サイトを作り替えていきます。

 ストレスなく使えることを突き詰めていくのがSBI証券の使命だと思っています。期待していてください」

 見やすく、わかりやすいプラットフォームへの強い意欲が感じられた。

 画面のデザインにも、ようやくSBI証券が本気を出す––––。100点満点のネット証券への道筋が、見えてきた。

取材・文/大場宏明、中島晶子(AERA編集部)

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編集/綾小路麗香、伊藤忍

※『AERA Money 2024春夏号』から抜粋

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。「AERA」とアエラ増刊「AERA Money」の編集担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などの経済関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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