取材していて感じたのは「頭の回転が強烈によい方(かた)」(撮影/朝日新聞出版写真映像部・上田泰世)

「条件変更は誠実さに欠ける」

「一番重視したのは『条件をコロコロ変えず、永続的に実施できるか』という点でした。

ユーザーを頻繁に混乱させるのは、証券会社として誠実さに欠けますので」

「ゼロ革命」も決して一時的なものではない。髙村社長は「準備に10年近くかけてきました」と話す。

「(SBIホールディングスの)北尾は9年前の2015年に総合証券化を目指す方針を発表しています。2019年に手数料無料化を予告し、その通りになりました」

 うちの無料化を追いかける他社とは準備の度合いが違う、と。

「他のネット証券さんが取り組みにくいこととしては、ホールセール、つまり事業法人や金融法人などとの取引に力を入れてきました。すでにSBIは新生銀行を買収しています。

法人が資金調達する際、銀証連携といいますが、銀行融資と株式を中心に扱うSBI証券の組み合わせが強みになります」

 富裕層ビジネスにも注力する。

 「一つは2009年頃から手がけているIFA(金融商品仲介業者)ビジネス。富裕層への運用助言から売買のサポートまで受け持ちます。もう一つは『ウェルスマネジメント』。自前で人材を確保して富裕層の資産を守り、増やします」

ダメ出しはすべて見る

 本誌が実施した新NISAアンケート(2019人回答)で「SBI証券の好きなところ、嫌いなところは?」と聞いた。

 好きなところは「手数料の安さ」と答えた人が最も多かった。「SBI証券が最初に手数料を下げてくれたから、他社もまねした。ありがとう」と回答した人も複数いた。

 髙村社長に、評価できないと書かれた点も伝えた。筆頭は「メンテナンスの多さ」と「画面デザインのわかりづらさ」である。

 髙村社長はまず、「ユーザーから『ダメ出し』をいただいたものにはすべて目を通しています」と言った。では、なぜメンテナンスの不満は改善されなかったのか。

「実は、サーバーをフルクラウド化するための最終調整をしていました。これまで週末のたびにテストを重ねてきましたが、これから本格稼働していきます」

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「画面デザインが煩雑」の裏事情