SBI証券の髙村正人社長(撮影/朝日新聞出版写真映像部・上田泰世)
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新NISAで大人気のSBI証券・髙村正人社長にインタビュー。2019人から寄せられた「SBI証券への不満」にまっすぐ答えた。一時期の「メンテナンスの多さ」には、ある理由があった――。

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【本記事はアエラ増刊「AERA Money 2024春夏号」から抜粋しています】

 個人投資家の株式売買の大半を占めるネット証券。SBI証券はグループ全体の総合口座数やシェアなどでトップを走り続けてきた。

 2023年には日本株の売買手数料0円(通常取引も新NISAでの取引も)を実現。業界のリーダーとしての地位は揺るがない。今後もトップを守り続ける施策は? SBI証券の髙村正人社長に聞いた。

NISA口座新規開設1位

 新NISA開始を控えた2023年の1年間。熾烈(しれつ)を極めた証券会社のNISA口座獲得競争を制したのはSBI証券だった。

 同年12月末時点のSBI証券のNISA口座の年間増加数は、2022年12月末比で約121万口座増、楽天証券は約105万口座増。

 ライバルの楽天証券を蹴散らし、業界トップの意地と安定感を見せつけた。

 主要ネット証券5社の残る3社は総合口座数でマネックス証券が約5.6万口座増、松井証券が約8万口座増、auカブコム証券が約13.3万口座増。

 3社の新規総合口座すべてでNISA口座が開かれたとしても、SBI証券の数字に及ばない。

23万件の口座移動

 髙村社長が「全く想定していなかったこと」がある。他社からSBI証券へのNISA口座の移動(金融機関変更)だ。

「2023年10〜12月には約23万件の移動がありました。前年同期のざっと5倍です。新NISAで制度が恒久化され、枠が広がり、制度として認知度も上がってきたのは確かですが、それだけではこの数字は出てきません。驚きとともに、うれしかった」

 NISA口座を開けるのは1人1金融機関がルール。年ごとに変更できるが、面倒だ。その手間をかけて引っ越した人が約23万人。

 SBI証券の新NISAは日本株、米国株、海外ETFの売買手数料がゼロだ。為替手数料もリアルタイム為替取引利用で全額キャッシュバック。

 投資信託はもともと販売手数料無料だが、信託報酬も「投信マイレージ」の形でかなりの部分を顧客に還元している。

「ゼロ革命」で低コスト化してくれるのはありがたいが、「自社までゼロ革命」だと経営的にまずいだろう。なぜ新NISA口座の獲得にここまで注力するのか。

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。「AERA」とアエラ増刊「AERA Money」の編集担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などの経済関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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