清少納言図。清少納言の宮仕えは定子が亡くなる1001(長保2)年頃まで続いたが、その後宮廷を退き、晩年は零落したともいわれる/東京国立博物館蔵 ColBase
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 5月26日放送の大河ドラマ光る君へ」第21話では、ファーストサマーウイカ演じる清少納言が、自然や四季、宮廷の様子などを多彩な筆致で綴る『枕草子』を生み出す瞬間が描かれた。6月2日放送の第22話では、まひろ(紫式部、演じるのは吉高由里子)は越前守(えちぜんのかみ)となった父と共に任地へと向かい、『源氏物語』の誕生はもう少し先になりそうだが、11世紀初めに平がな・片かなの字形がほぼ定まると、漢字だけでは表せない日本人らしい感情や感覚を伝えることが可能になり、様々な文学作品が生み出されていく。

 平安文学の隆盛はどのようにもたらされたのか。そして後宮サロンでは、どんな女性がどんな文学を生み出したのか。『出来事と文化が同時にわかる 平安時代』(監修 伊藤賀一/編集 かみゆ歴史編集部)から学びたい。

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 土佐(高知県)国司となった紀貫之(きのつらゆき)は、土佐での生活を書いた日記『土佐日記』を平がなで執筆。以降、著者の内面を描いた日記文学・随筆が発展していく。散文で書かれた物語文学では、日本最古の小説『竹取物語』や、在原業平(ありわらのなりひら)が主人公とされる歌物語『伊勢物語』などが書かれた。また『栄花物語』や『大鏡』など歴史をモチーフにした歴史物語、『今昔物語集』などの説話(言い伝え)をまとめた説話文学もつくられた。

 和歌においては、紀貫之らによって最初の勅撰和歌集である『古今和歌集』が編まれ、後世の和歌に大きな影響を与えた。柄本佑演じる藤原道長の娘で、定子の出家後に一条天皇の中宮となった藤原彰子に仕えた和泉式部など、有能な女性歌人も登場した。

 随筆では、なんと言っても、宮廷生活を題材とした清少納言の『枕草子』がよく知られる。清少納言は三十六歌仙の一人・清原元輔の娘である。993(正暦4)年頃、「光る君へ」では高畑充希が演じる一条天皇の中宮・定子の女房として出仕。定子の父・藤原道隆が栄華を誇っていた時期で、定子との交流や宮廷生活の様子を随筆『枕草子』に描いた。一方、自身の学識と機知の高さを表す逸話も隠すことなく書き並べており、才気煥発で勝ち気な性格が表れているといわれる。

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