アマチュア時代は世代のトップランナーだった。藤原恭大(ロッテ)、横川凱(巨人)、柿木連(日本ハム)と共に大阪桐蔭で全国制覇を3度達成。投打の二刀流として活躍し、2018年のドラフトでは中日、日本ハム、ヤクルト、巨人の4球団から1位指名を受け、抽選の結果、中日に入団した。遊撃手として球界を代表する選手になると将来を嘱望されたが伸び悩み、外野にコンバートを経て、22年のシーズン途中に投手と野手の二刀流へ。翌23年から投手に専念した。
根尾が登板すると、スタンドがわく。絶大な人気は今も変わらない。一方でインパクトのある結果は残せていない。昨年は春先に投球フォームのバランスを崩し、シーズンの大半がファーム暮らし。終盤に1軍昇格して2試合登板で防御率0.71をマークし、今年は大きな飛躍が期待されたが、停滞している感が否めない。
「評価しているのは投手でなく野手ですね」
セ・リーグのスカウトは、こう漏らす。
「甲子園のスター選手がプロの世界で思うような結果を残せず、消えてしまうのは不思議ではない。でも、根尾は高校時代の野球センスを見ていたので、もったいないなあと。素材としては間違いなくいい。彼は同学年の小園と比べて粗削りで、遊撃の守備の安定感で言えば小園の方が当時から上だった。でも根尾には攻守で伸びしろを感じていた。評価しているのは投手でなく野手ですね。他の球団もそうだと思いますよ。頭のいい選手でチームリーダーになれる。素材としては間違いなくいい。送球に不安を抱えているならセカンドという選択肢もある。打撃もまずプライドを捨てることからですね。もう高校ナンバーワンスターではないですから」
かつて、中日でコーチをしていたOBも同意する。
「根尾は頭がよすぎる。これは褒め言葉じゃないんです。教えたことを根気よく続ける忍耐力がない。打撃フォームを修正してすぐに打てるものではないのに、結果が出ないとコロコロ変えてしまう。根尾の場合は『二度引き』という悪癖が修正できなかった。トップの位置からバットをそのまま出さずに、もう一度引いてしまうので速い球に差し込まれてしまっていた。能力が高いから色々と小細工してしまう。もう少し何とかできたかなという思いは今でもあります」