『おひとりさま』ってネガティブと、ポジティブと、両方の言われ方をするじゃないですか。でも、そんなタイトルなんてつけずとも、いまお仕事を頑張っている女性たちは、結婚していても、シングルマザーも、もちろん独身も、仕事をしながら一人の時間を見つけて過ごすプロだろうなって(笑)。年齢関係なく、その欲求がずっとあるほうが楽しいんだろうなって、いま、改めて思います」
すべて自分の身になる
「若いときは吸収するものしかない時期だから、引き出し開けっぱなしで使っちゃって、全部なくなっちゃった、みたいな感じを繰り返していた」という松下さん。
「20代はまだまだわからないながら走りまくって、30代はちょっと周りが見えてくるようになって、40代も自分なりに、なんて考えて……だけど、ずっと頑張ったら頑張っただけ、身になってくれるものじゃないですか? 頑張るのがしんどくなってサボっちゃったりしたことすらも、自分の身になっちゃう。だから、本当に、その人次第の、好きな生き方でいいんだろうなって。いまは、何かを入れて、自分の引き出しをいっぱいにしよう、っていうよりは、何が必要だっけな、自分の好きなものだけでいいんだろうな、という感じになってきています」
最後に、舞台に掛けて何か「魔法」を使えるとしたら?と尋ねてみた。
「やっぱり、どこでもドアみたいな魔法がいいな。現場にも、海外も、行きたいところにパッといけるやつ」。海外に行くとしたら?「ドイツ。ドイツで美味しいビールを飲む!」
その笑顔に、長年愛され、求められつづける理由を、改めて感じた。
(編集部・伏見美雪)
※AERA 2024年5月20日号に加筆