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15歳でデビューし、コンスタントに第一線で活躍している松下由樹さん。トレンディードラマからコメディーまで、さまざまな役を演じ続けてきた。演技があまりに真に迫り、“嫌われる”時期もあったことも。つらい時期をどう乗り越えたのか。AERA 2024年5月20日号より。
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役者冥利に尽きる経験
常に明るく語る松下さんからは想像がつかないが、“嫌われる”時期もあった。出世作となった90年のドラマ「想い出にかわるまで」で演じた姉の婚約者を略奪する妹役が、あまりに真に迫っていたためだ。
「あのときは本当に嫌われました(笑)。テレビのスタッフさんからも、取材をしてくださる方からも、誰からも好奇な目で見られて。毎回、どういう子なんだろう、役と一緒なんだろうかっていう目から入ってくるっていう。もう、忘れられないですね。電車に乗っていて、知らない方に捨て台詞を吐かれたこともありましたよ。すごい影響力なんだなって思いました」
脚本家の内館牧子さんに、相談をしたことは?
「いえ。当時は、私がいちばん若かったので。それ以上に、話が話だったので、(姉役の)今井美樹さんも、(婚約者役の)石田純一さんも、みなさん、本当に大変だったんですよ。しんどい役って、体にもきますよね。もう、忘れられないスタジオの空気感とか、いっぱいありますよ。お姉ちゃん役の、今井美樹さんの、泣き声が響くシーンとか……、現場も大変だった。私以上だったと思いますね。だから自分がどうこうなんて、言えなかったです」
そのつらい時期を、21歳だった松下さんはどう乗り越えたのかと問うと、「役者冥利(みょうり)に尽きるっていう言葉でしたね」と穏やかに微笑んだ。