だが、ここまで10試合に登板。ストレートは150キロを超えることも珍しくなく、一軍にデビューした当時の勢いが戻ってきているように見える。漆原のフォークのように絶対的な決め球がないのは課題だが、ボールの力は十分で実績もあるだけに、早期の一軍復帰の可能性も高いだろう。
漆原と梅野は一軍で実績のあった選手だが、同じリリーフで移籍をきっかけに一軍に定着しつつあるのが長谷川威展(日本ハム→ソフトバンク)だ。花咲徳栄では清水達也(中日)、西川愛也(西武)らと同期で、3年夏には全国制覇を経験しているが、甲子園ではベンチ外だった。金沢学院大進学後に才能が開花。2年冬には大学日本代表候補合宿にも招集され、2021年のドラフト6位でプロ入りを果たした。日本ハムでの3年間は一軍登板11試合に終わったが、今シーズンは4月4日に一軍昇格を果たすと、ここまで6試合連続無失点と好投を続け、2勝、1ホールドをマークしているのだ。
小さいテイクバックでボールの出所を上手く隠しており、いきなり腕が出てくるため打者はタイミングをとるのが難しい。左打者だけでなく右打者もしっかり抑えているのもプラス要因だ。長年左の中継ぎとしてチームを支えてきた嘉弥真新也(ヤクルト)が昨年限りで退団しただけに、それに代わる存在として貴重な戦力となりそうだ。
一軍ではまだ結果は出ていないものの、高い将来性を感じさせるのが水谷瞬(ソフトバンク→日本ハム)だ。石見智翠館から2018年のドラフト5位でソフトバンクに入団。これまでの5年間で一軍出場はなかったが、日本ハムではキャンプからその長打力が首脳陣の目に留まり、4月9日に初の一軍昇格を果たすと、11日のソフトバンク戦ではプロ初ヒット、初打点を記録した。その後は目立った活躍を見せることはできず、4月22日には登録抹消となったものの、二軍ではここまでイースタン・リーグでトップとなる7本塁打を放ち、9割近いOPS(出塁率+長打率)をマークするなど見事な成績を残している。