3作目、病院から自宅へ戻る車の中で主人公は父親にこう伝える (c)もつお/KADOKAWA 『精神科病棟の青春 あるいは高校時代の特別な1年間について』から

「病棟であったこと、先生や看護師さんとの思い出は大切なものだと、知ってもらいたい」と、もつおさんは言う。

 退院してからも決して順風満帆ではなく、美大に入ってからも、神様との葛藤はしばらく続いた。過食嘔吐も経験した。発病してから、今年で10年。好きなことができ、普通にご飯を食べることができ、大切な家族や友達がいる。いま、とても幸せだと感じている。

「あの時、私も家族も『お先真っ暗』と感じていました。『この病気は治らない』とか、よくない話を少しでも聞いたら絶望していた。今は先がないなんてことはないと思うし、心の病気は『絶対治る』とは言えないけど、『よくなる解決策はある』と思うようになりました。それを伝えていきたいし、私がやらなければいけないことかと思っています」

(ライター・羽根田真智)

AERA 2023年10月23日号より抜粋

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