最大の武器は「普通の感覚」
「“プロのアーティスト”という感覚は今もあまりなくて。庶民感覚はぜんぜん抜けないですね(笑)」というimase。初めてのCDアルバムに『凡才』というタイトルを付けたことからもわかるように、彼の最大の武器はリスナーと同じ目線に立てる“普通の感覚”なのだと思う。
「音楽経験がまったくなくて、楽器も弾けないこともあって、“どうやったら曲を聴いてもらえるだろう?”と考えながら活動してきたんです。SNSに15秒くらいの短い曲をアップしたのもそう。たくさん投稿して、反応がよかったものをフル尺にするというやり方もですね。動画の撮り方や画角も工夫して、見られやすい、飽きづらい発信の仕方も考えて。それは“凡才なりの戦い方”だなと思うんですよね」
6月にはアジアツアーを開催し、11月には初のホールツアーも決定するなど、活動のスケールも着実に拡大。「ライブに来てくれた方から“音楽をはじめました”と言われることもあって。うれしいですね」と下の世代にも大きな影響を与えているimase。リスナーに求められている楽曲を提示するマーケティング能力にも優れている彼だが、今後の活動については「失敗を恐れず、思い切ったこともやってみたい」という。
「初期の楽曲はかなり尖っていたなと思っているんですよね。たとえばメジャーデビュー曲の『Have a nice day』は、曲調は明るいんですが、サビを全部ファルセットで歌っていたり、けっこうネガティブな歌詞だったり。今は求められるものを作るスキルもクオリティも、その頃より成長したと思いますが、初期の頃にあった“棘”の部分も大切にしたいなと思っています。もちろんヒットさせたいし、いろんな方に聴いてほしいですが、ときには“三振かホームランか”思い切り振ることも必要。そういう曲は今後も作り続けたいですね」
(取材・文/森 朋之)
imase/岐⾩出⾝、23歳の新世代男性アーティスト。⾳楽活動開始からわずか1年ほどで、TikTokで楽曲が話題となり、2021年12⽉にメジャーデビュー。「NIGHT DANCER」は韓国配信サイト“Melon”でJ-POP初のTOP20⼊りを果たし、SpotifyバイラルチャートTOP50にも31カ国ランクインするなど世界各国で大ヒット中。「第65回輝く!⽇本レコード⼤賞」で優秀作品賞を受賞したほか、韓国で開催されたMMA 2023、CCMA 2023に⽇本⼈アーティストとして初出演、初受賞を果たすなど国内外で活躍している。2024年3⽉からは初の全国ツアー『imase Tour 2024 “Shiki”』を開催し、チケットは即完売。6⽉から初のアジアツアー、11月からは初のホールツアーの開催も決定している。5月15日に全19曲収録の1st Album『凡才』をリリースする。