定年後も仕事をしている人は集中力が高い

 定年後もなんらかのかたちで仕事を続けている人は、認知機能や集中力の低下を防げます。仕事をすることは、高い集中力、判断力、思考力を必要とするので、つねに脳を活性化させることで、脳の働きを維持することができるのです。

 またその場合は、楽しいと思えたり意欲をかきたてられたりすることのほうが、集中力が高まります。もちろん、仕事ではなく趣味でも可能です。その際は、長く続けている趣味を楽しむことももちろんすばらしいですが、新しい趣味や習いごとに挑戦することは、脳がより活性化されるのでおすすめです。楽器の演奏や編み物など、手先を使って集中できることも、より認知機能や集中力の低下を防ぐことができます。

新しい物事を楽しむことが集中力を高める

 高齢者になっても、新しい人や物事と出合い、それらを楽しむことは、脳の活性化と集中力の向上につながります。私の周りでも、70歳を過ぎても元気にゴルフを楽しんでいる知人も多く、私もよく一緒に回らせてもらっています。人と会って体を動かすことは脳の活性化にもつながりますし、お天気がよければ日光をたっぷり浴びることができ、セロトニンが分泌されて自律神経も整います。

 話題のドラマや映画、本や漫画に触れることも、意識的に努めてみてください。若い人の感性に触れることで新しい刺激を受けることができますし、楽しいことに没頭することで集中力も高められます。積極的に外に出て、人に会ったり新しい物事に出合うことで、集中力を維持し、心身ともに健康な日々を過ごすことができるのです。

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小林弘幸

小林弘幸

小林弘幸(こばやし・ひろゆき) 順天堂大学医学部教授。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。1987年、順天堂大学医学部卒業。92年、同大学大学院医学研究科修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科などの勤務を経て順天堂大学小児科講師、助教授を歴任。腸と自律神経研究の第一人者。『医者が考案した「長生きみそ汁」』など著書多数。テレビなどメディア出演も多数。

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