そういえば後藤さんのSNSには、アマゾンアフィリエイトのリンクすらない。アマゾンアフィリエイトとは、読者がリンクを踏んでから一定時間内に何か買い物をすれば、アカウント保有者に売り上げの一部がバックされる形のネット副業の定番だ。
「そもそもツイッターのリンクを踏んでもらうことで直接稼ぐ気がありません。自分が本を出したらお知らせしますが、そのリンクにさらなる収益の仕掛けは入れない」
自分の本なら、本を買ってもらうだけで多少なりとも収益につながるから、そこにわざわざアフィリエイトは仕込まないというわけだ。何かと正直な人なのである。
「自分の小金稼ぎのために、フォロワーにとって重要じゃなかったり、時には有害だったりする情報も発信すると思われたら、信頼度が下がってしまう。アフィリエイトで得られる目先の利益を優先して信頼を失うほうが、よっぽど損だと思います」
政府は2024年、値上がり益や配当が非課税のNISAを拡充。年間投資枠を最大360万円、非課税保有限度額を1800万円に広げる。後藤さんはどんな資産運用を勧める?
「NISAに工夫なんて、必要ないです。他の人が知らない裏ワザもありません。よくわからなければ、米国主要企業を網羅するS&P500や全世界株式に連動する投資信託をつみたてればいいと思います」
この1年で1ドル=一時150円超えまで円安が進み、全資産を円だけで保有することのリスクに気づいた人は多いはず。
「日本の円預金以外に、米国株などの海外資産をある程度保有することは必要でしょう。儲けるためではありません。自分の資産や生活を守るためです」
後藤さんは高校や大学で金融教育の出張授業も行う(2023年5月末まで募集、予定が埋まり次第終了)。謝礼どころか交通費も不要という。現在、はじめての著書を執筆中。日経BP社から発売予定だ。
最後に素顔をのぞくべく、お酒について。
「ウイスキーが好きです。『マッカラン12年』などのスタンダードな銘柄。あとは日本酒。吟醸香や甘味の強いものより、すっきりした味のものを選びます」
編集/綾小路麗香、伊藤忍
※『AERA Money 2023春夏号』から抜粋