編集を担当した小森俊司さん

「やっぱり人生で一番大事なものというのは、一つは、どんな環境にあろうとも真面目に一所懸命生きること。

 私が京セラや第二電電をつくり、JALを再建し、素晴らしいことをやったと多くの方々から称賛していただきますが、ただ1つだけ自分を褒めるとすれば、どんな逆境であろうと不平不満を言わず、慢心をせず、いま目の前に与えられた仕事、それが些細な仕事であっても、全身全霊を打ち込んで、真剣に一所懸命努力を続けたことです。全生命を懸ける努力、世界中の誰にも負けない努力をしていけば、必ず時間と共に大発展を遂げていくものと信じて疑いません。

 それともう1つは、人間は常に『自分がよくなりたい』という思いを本能として持っていますけれども、やはり利他の心、皆を幸せにしてあげたいということを強く自分に意識して、それを心の中に描いて生きていくことです。いくら知性を駆使し、策を弄しても、自分だけよければいいという低次元の思いがベースにあるのなら、神様の助けはおろか、周囲の協力も得られず、様々な障害に遭遇し、挫折してしまうでしょう。『他に善かれかし』と願う邪心のない美しい思いにこそ、周囲はもとより神様も味方し、成功へと導かれるのです。

 私はこの2つを特に心掛けて生きてきました。盛和塾のモットーは『心を高める 経営を伸ばす』ですが、私自身がこれからも心を高め続ける一生でありたいと思っています」

 各界で一道を歩み、自らを磨き続けてきた3名の方の言葉を紹介した。本書に収録されている74名の話から、時代を越えて通底する不変の原理や生き方のセオリーを見出し、ご自身の仕事や人生の糧としていただくことをぜひおすすめしたい。

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