ドジャース戦を観戦する真美子さん

 米国で日本人選手の通訳を務めた経験を持つ関係者も同調する。

「メジャーでプレーするということは、米国で生活を送るということです。大谷はエンゼルスで6年間プレーしているので生活のペースはつかめていますが、一平は球場の送り迎えなどグラウンド外のサポートもしていて一緒にいる時間が長かったので、精神的支柱としても頼りにしていた存在だったと思います。今回の不祥事でチームを去ったことは大きなショックですが、真美子さんが同じ空間に一緒にいてくれるだけで心が安らぐ部分が間違いなくあるでしょう」

「特別扱い」されないドジャースの環境

 一方、米国に駐在する通信員は、
ドジャースでプレーすることが、大谷の精神的ショックを和らげる新たなモチベーションになる」
と分析する。

「低迷期が長いエンゼルスでは大谷にモノを言う人がいませんでしたが、常勝軍団のドジャースは違う。デーブ・ロバート監督は大谷に絶大な信頼を置いている良き理解者ですが、チームの勝利のために厳しいことも言います。今月16日のナショナル戦で大谷がマルチ安打をマークしましたが、3度の好機で凡退したことについて質問が及ぶと、『ショウヘイはとても積極的な打者だが、得点圏に走者を置いた場面でいつも以上に積極的だと思うので、落ち着かないといけない。投球を見るように伝えるつもりだ』と苦言を呈しました。エンゼルスではここまでストレートに言われることはなかったでしょう。ドジャースではスーパースターでも特別扱いしません。これは大谷にとって望んでいた環境じゃないですかね。ワールドシリーズ優勝を目指す上で、個人成績が良ければ評価されるチームではない。勝つことが宿命づけられたチームでプレーしたことは今までなかったし、能力が高い選手たちと切磋琢磨できて、刺激的な毎日だと思います」

 大谷が最も渇望しているのが、世界一の称号だ。松井氏はヤンキース在籍時の09年に、ワールドシリーズで13打数8安打、打率.615、3本塁打8打点の大活躍で9年ぶりの世界一に貢献。日本人選手史上初のワールドシリーズMVPに輝いている。
 大谷は日本ハムからエンゼルスに移籍後、在籍していた6年間で1度もプレーオフに進出できなかった。個人としては2度のMVPを受賞したが、心から喜べたとは言えないはずだ。

 グラウンド外の辛い経験を真美子夫人とともに乗り越え、未知の世界に向けて突き進んでほしい。

(今川秀悟)

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