有料サロンなら何を言ってもOK?→弁護士の見解は

 つい先日、動画配信に力を入れている元有名経営者が「ヤバいことは有料サロンでやることにしています。有料サロンは内輪の飲み会と一緒で、何をいっても名誉毀損にはならない」旨、述べていた。

 こんな話は初耳だったのでビックリしてしまったが、果たして本当なのだろうか。ネット上の誹謗中傷問題等に詳しい城南中央法律事務所(東京都大田区)の野澤隆弁護士に見解を求めた。

「『有料サロンであればどんな話をしてもいい』といった理屈は、裁判所では通じません。オフレコだったなどといった主張は受け入れられず、伝播可能性(不特定多数の者に対し情報が伝わる可能性)が重視される結果、民事・刑事両分野で名誉毀損が成立します」

「とはいえ、民事裁判分野で懲罰的な賠償を認める制度は日本では存在しておらず、名誉毀損の証明は難度が高く手間もかかるため、慰謝料請求等する人が少ないのが実情です。刑事裁判分野でも、警察段階で被害者の提出書類などがそもそも受理されないことや、受理されたとしても検察段階で起訴猶予になるケースはよくあります」

「結局、無料で誰でもアクセスできるYouTubeの動画などと比較すると、参加人数がそれなりに制限された有料サロンでの誹謗中傷行為が表面化することはあまりなく、特に被害者が政治家、芸能人、大企業経営者のような公人・準公人の立場にある方の場合、『有名税』として我慢を強いられていることも多いだろうと思われます」

飲み会での悪口もダメ?

 それでは、仲間同士のコンパや職場の飲み会などで、悪口や暴露話をするのはどうだろうか。野澤隆弁護士はこう解説する。

「フランスの哲学者パスカルの名言に『人間は考える葦(あし)である』という言葉があります。葦とは川辺に生えている長くて細い植物であり、転じて『人間とは物理的には弱いが思考力を持つ個人である』といった意味です」

「この例えは、聖書で、葦が『集団で揺れるしかないか弱い植物』として描かれていたことが背景にありますが、人間とは愚かであり、仲間内でお酒も入るストレス発散の場となればその傾向は一層強まります」

「昭和の会社では、偉い立場の人が『今日は無礼講(ぶれいこう)だ』などといった(建前かもしれない)発言を宴席でよくしていましたが、令和のネット社会では『あの発言はパワハラ・セクハラ事件発生の重大原因だった』などとSNS上で糾弾されかねません」

「江戸時代最強のインフルエンサー松尾芭蕉の名句に『物言えば唇寒し秋の風』というものがあります。余計な発言はいつの時代も大炎上の原因だったようです」

 エレベーターに他人がいるのに悪口をいうのは避けたいところだが、仲間内しかいなければ止まらないよな、と思う。酔っ払って他人への悪口が言えないというのでは、偉くなるというのも考えものだ。

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