「クソ」に寛容な判決
2019年12月19日、れいわ新選組共同代表の大石晃子衆院議員が、ジャーナリストの山口敬之氏に対して「クソ野郎」とXに投稿したことが名誉毀損に当たるのかが争点の裁判だ。
報道によると、東京高裁(相沢真木裁判長)は3月13日の判決公判で、次のように結論づけた。
《判決では「クソ」という言葉が直ちに人糞を意味するとは解されず「クソじじい」や「クソまじめ」、「クソ忙しい」などとののしりや強調の意味で用いられるとして「『クソ野郎』という表現は、いさささか品性に欠けるきらいがあるものの、他人に対する最大限の侮蔑表現であるのかは、疑問を差しはさまざるを得ない」とした》
《さらに「『クソ野郎』との表現部分を含む記載部分については公共性及び公益目的が認められ、前提となる事実について真実であることの証明があり、意見ないし論評としての域を逸脱したとはいえないことにも照らすと、『クソ野郎』との表現が社会通念上許される限度を超える侮辱行為に当たるまでとはいえない」とした》(3月13日、よろず〜ニュース)。
ずいぶん「クソ」という表現に対して寛容な判決が出たものである。
日常生活の中で、私たちは友人や同僚と話しているときに、ただの悪口だけでなく、時には他人の秘密を話すこともある。例えば、「あの二人、付き合ってるらしいよ」とか「あの課長、いつも上司におべっかを使ってるよね」といったことが、あちこちで話されている。ひょっとすると、「私はそんなことを話していない、証拠を見せて」と反論する人もいるかもしれない。