それにしても、岸田首相はなぜここまで卑屈になって、米国に取り入ろうとするのか。
私は、その背景には、岸田氏個人のコンプレックスと対をなす安倍の「ナルシズム」と「白人コンプレックス」があるとみている。実は、それは安倍元首相と瓜二つだ。
安倍氏も岸田氏も、米国大統領と共にある時、喜びに満ち溢れた顔を見せた。その象徴が、大統領との自撮りツーショット写真である。スマホに向かって満面の笑みを湛えたその瞬間、彼らは、心の中で「見てくれ!俺はアメリカの大統領と自撮りツーショットを撮れる仲なんだぞ!世界中でそんなことができるのは俺だけだ!」という歓喜の叫びをあげていたのだろう。
安倍氏の時は安倍氏自らがトランプ氏との写真を自撮りしたが、今回はバイデン氏に自撮りをさせたということで、岸田氏は「安倍を超えた」と自慢したいことだろう。一体誰が仕組んだ演出なのかわからないが、岸田氏にとっては、至福の時だったに違いない。
さらに言えば、『子供の頃から自分をバカにしてきた』母親への反骨心からでる東大卒の祖父・岸信介という大きな壁を越えようとするがあまり、学歴コンプレックスが変化した「ナルシズム」に取りつかれた安倍氏(この点は、4月22日から再上映されている映画「妖怪の孫」の原案となった拙著『分断と凋落の日本』45ページ参照)。
一方、開成高校出身ながら2浪しても東大に合格しなかったことを今なお揶揄されることへのコンプレックスへのリベンジ精神から生じた、「俺は本当はすごいんだ」というナルシズムに浸る岸田氏の姿。この二つはぴたりと重なると言えば、多くの人は頷くだろう。