64歳の誕生日を迎え、各国外交団との「祝賀の儀」であいさつをする天皇陛下と皇后さま=2024年2月23日、皇居・宮殿「豊明殿」

長時間の激務だから着心地の良いドレス

 なぜ、他の女性皇族と異なり、ハリのある生地ではないのか。

 皇室の事情を知る人物は、

「皇后陛下にとって着心地のよいお召し物であるためでしょう。他の宮殿行事でも、素材がやや薄く、柔らかそうなドレスをお召しです」

 そしてこの人物は、ご負担の軽減を考慮した側面もあるのではないか、とみる。
 

 公務や行事において、天皇陛下はもちろん、陛下を支える皇后も重責を担う立場だ。

 たとえば天皇誕生日一般参賀の日、天皇陛下と雅子さまはベランダでのお手振りの前後に、三権の長や各国の駐日大使らから祝賀を受ける行事が宮殿で8回あり、宮殿・長和殿のベランダと正殿の間を一日中、分刻みで往復し続ける。

 そして移動先でも、出席者とともに長時間立ったままだ。

 さらに宮殿での祝賀行事のほかにも、仙洞御所へのあいさつ、お住まいの御所でのお祝いの行事と、スケジュールがびっしりなのだ。
 

天皇誕生日の「祝賀の儀」で、岸田文雄首相からお祝いのあいさつを受ける天皇陛下と皇后さま=2024年2月23日、皇居・宮殿「松の間」

衣装も試行錯誤の連続

 天皇陛下は誕生日会見で、雅子さまが多くの行事に参加したことに触れて、

「いまだ回復の途上で、体調には波があり、大きな行事の後や行事が続いた場合には、疲れがしばらく残ることもあります。そのような際には、十分に休息を取ってほしいと思います」

 と話している。

 特に宮殿行事では、多くの目がある中で長時間立ったまま、ということが少なくない。先の人物も、こう話す。

「厳寒の季節や酷暑の季節でも屋外に立たなくてはならないこともあります。平成の皇后であった上皇后陛下も、当時は、どのようなデザインであれば隣にいらっしゃる陛下の姿を隠さないか、またお相手とスムーズに握手ができるかを試行錯誤されていました。皇后陛下も、儀礼に沿いながらも、お身体がすこしでも楽なものをお選びになっているのかもしれません」
 

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待ち望む「笑顔」