そこでスチュワート側は日本で実績を積む“猶予”を作りだすため、ソフトバンク側は最初の6年契約で支払った総額700万ドル(約10億8000万円)プラス出来高の“投資”を取り戻すためか、昨オフに契約を延長。2025年からの2年で最大1000万ドル(約15億4000万円)で契約を交わしたが、日本でいまだ実績のない選手に払い過ぎとの声も多い。
素質はメジャーでも一線級になれるものはあるが、果たして契約が終わる頃にはスチュワート、球団の双方にとって満足となる結果となっているのかは楽しみでもある。
「投手としての潜在能力は素晴らしいものがある。課題だったフィジカルやメンタルもNPB方式で鍛え上げられてプロレベルに達しつつある。あとは一軍ローテーションに入って1年間を乗り切ることで、経験や自信を持てるようになるだろう」(ソフトバンクOB)
思ったような成長曲線は描けなかったが、昨シーズンは来日後最多となる14試合に先発登板。さらにクライマックスシリーズ(CS)のファーストステージ、ロッテ戦で登板(3回途中4失点)するなど、成長の跡はしっかりと見せている。あとは本格的にローテーションの一角としての活躍が待たれている。
「10代の頃から球の力で相手打者を抑えることができていた。今は投手として全ての面を1つずつ積み上げている途中なので、もう少し時間がかかるだろう。しかし昨年CSでの敗戦などで得たものは決して小さくはない。大きくブレイクする可能性は十二分にある」(MLBアジア地区担当スカウト)
「現状でも強引な交渉をすれば来季からMLBでプレーさせることもできたはず。しかしスチュワートの未来を見据えてソフトバンクと2年契約を選んだのだろう。今まで数多くの選手を見てきたボラス氏の判断だけに伸び代に期待が持てそう」(在米スポーツライター)
「1年間一軍で過ごしながらチームが優勝できるように頑張りたい。10勝はしたいです」とスチュワート本人が語っているように、今季は開幕から先発ローテーション入り。これまで2試合に先発して勝ち負けこそないが、10回2/3を投げて防御率2.53という結果を残している。