「TOEFLは85点くらいだったので、インタビューで英語をしっかり話せることをアピールできるよう頑張りました」(女子学生)
学習院の出願も同時期だったが、志望理由書の用意には米国の大学出願で作ったエッセイの準備が役立ったという。結果はダブル合格。女子学生は、
「米国の大学は入学が秋なので、親とも相談し、前期だけ学習院に通って日本でも友達を作ってから渡米し、入学しました」
と話す。国内大学の入学金と前期の学費はかかるため、ここは覚悟が必要になる。
海外大学進学と聞くと、どうしても拭い去れないのがお金の問題だ。
ヨーロッパには、公立大学も多くあるが、国外からの入学者には高い学費を求める大学も多い。ましてや米国の大学となれば、年間学費は公立でも500万円、私立となれば1千万円を超えるところもある。今はさらに円安も影響し、富裕層でもない限り、親も躊躇してしまうのが現実だ。だが、海外進学した学生の多くは全額を自腹で払っているわけではないようだ。
この女子学生の場合、学費と寮費、食費、光熱費を含めて支払っているのは日本円で年間約250万円ほど。
「他にいるのはお小遣いくらいなので、国内で下宿しながら理系大学に通うのと費用的にはそう変わらないと思います」(女子学生)
この程度で済むのは、大学から奨学金をもらっているからだ。米国の私立大学は家庭の年収により国や州が学費を支援するファイナンシャル・エイドという給付型の奨学金がある。加えて、大学独自の返済義務のない奨学金もあり、中には留学生を対象にしたものも。これらを組み合わせることで留学費用を抑えることができるのだ。
県を挙げての支援も
ただ、こうした奨学金を得るためには成績も関係する。女子学生の通う大学では各セメスターでGPA3.0以上が基準になる。全体の上位3分の1に入るレベルに相当するが、
「丁寧に勉強していれば、それほど難しいことではない」(同)
(フリーランス記者・宮本さおり)
※AERA 2024年4月22日号より抜粋