世界中から約2万2千人の学生が集うハーバード大学。今年1月、クローディン・ゲイ学長が「反ユダヤ的行動を許容」と批判され辞職(写真:AP/アフロ)
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 大学受験で海外大学を併願する生徒が増えている。トップ層の中には、東大とハーバード大のダブル合格を手にするケースも出ているという。大学受験の新たなトレンドを取材した。AERA 2024年4月22日号より。

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「世界をちょっと見に行こう」という短期間の留学ではなく、学位取得を目指して海外大学に進学する若者たちが増えてきた。中には、東大とハーバード大のダブル合格を手にし、ハーバード進学を果たす学生も。進学校と呼ばれる国内の高校の中にもグローバルな受験を支援するところが出始めている。

共学の西大和学園(奈良県)。東大合格者数は2021~23年度の3年間だけで10年代後半の実績を超えている。伸びている進学校のひとつだ(写真:西大和学園提供)

 西大和学園中学校・高等学校(奈良県)は、2022年度から「海外大学進学プロジェクト」をスタートさせている。同校の24年の東大合格者数は71人。関西きっての進学校として知られているが、グローバル教育にも力を入れる理由について、プロジェクトの立ち上げに関わった同校の辻孝宗教諭はこう話す。

「本校は挑戦できる子どもたちを育てたいという思いがあります。人生をかけて挑戦することを学んでほしいと考えた時、進路についても“行ける所”ではなく、挑戦して“本当に行きたい大学”を目指す子になってほしい。ところが本校には、頑張らなくても東大に届いてしまうような学力を持つ生徒もいます。そういう子にとって東大は、挑戦して入る大学ではなくなってしまうんです」

 東大よりも難易度が高く、挑戦しがいのある海外大学への進学も視野に入れるために、同プロジェクトを立ち上げたというのだ。最近は、東大と海外難関大学のダブル合格の実績も出ているという。

家庭からのニーズも

「海外勤務から帰国した家庭や、外国籍の生徒も増えています。保護者の意識も国内だけでなく海外も視野に入れたいという家庭も増えた。家庭からのニーズが高まっていることもプロジェクト立ち上げのきっかけです」(辻教諭)

 同プロジェクトは、同校に通う生徒ならば中学生から受講でき、海外大学進学に必要な知識と、英語エッセイのライティングスキルが磨ける。立地を生かして奈良の法隆寺を題材に日本の文化や建築、歴史などを深く学ぶ探究学習なども行っている。

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