東大は2016年度から推薦入試を導入。27年秋には学部と大学院修士課程にまたがる5年一貫の新教育課程を設置するなど改革が進む

 しかし、東大などの国内難関大の受験と海外大学進学を並行して準備するのは、そう簡単なことではないだろう。ダブル合格を手にする子とはどのような生徒たちなのか。

共通テストで9割目標

 海外進学を目指す生徒の指導経験も多いベネッセ海外進学・グローバル教育事業責任者の辻村慎乃介さんは、

「私も関わる海外トップ大学を目指す専門塾『Route H』では、東大を滑り止めにしてハーバード大を受験し、合格した生徒も出ています。共通テストを通る力は持っていて、さらに英語もTOEFL108点から110点は取れるというレベルの子たちがダブル合格を手にしていく」

 と話す。

 東大に合格するためには、まずは、共通テストで9割を取ることが目標となる。読解力や計算力など全ての能力で高いレベルが求められているが、加えて、高い英語力があると、二次試験の苦手科目で多少コケても、東大合格の可能性は広がる。高い英語力はそのまま、海外名門大の合格にもつながるというわけだ。

「一般的に、二次試験でも各教科をまんべんなく取らないと合格できないと言われていますが、海外トップ大に合格できるだけの英語力をつけていると、東大二次試験の英語は100点は取れます」(辻村さん)

 共通テストで文系・理系まんべんなく点が取れない生徒の場合は、早稲田や上智、慶應といった難関私立大学と海外大学の組み合わせで挑戦することが多いという。

 埼玉県出身で米国ペンシルベニア州にあるリベラルアーツカレッジに通う女子学生(20)は、国内の私立大学と海外大学の併願でダブル合格を手にしている。組み合わせたのは学習院大学の総合型選抜と海外大学の「Early Decision」出願。日本の推薦入試のようなもので、合格すれば必ず入学する専願がほとんどだ。米国の大学は通常1月が出願だが、この入試は11月には出願がはじまり、年内に合否が分かる。

英語エッセイを準備

 女子学生は、高校2年の冬に英検2級を取得。米国の大学に行くための英語エッセイの準備を始めたのは高3の春からだったという。

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