開幕前、戦力的に見劣りする部分は否めず、レンタル加入が多い新戦力に対しても物足りない印象があったが、22歳の山田楓喜が威力抜群の左足で早くも直接FK弾2発を含む3得点をマークし、新10番の見木友哉も徐々にフィット。何より、若きキャプテン・森田晃樹が持ち前の巧さだけでなく力強さもピッチ上で表現しており、エース然としてきたFW染野唯月も頼もしい。ただ、試合終盤での失点が多いのは「足りないもの」がある証拠であり、過去の多くのJ2降格チームの特徴であるのは非常に気になるところ。まだ序盤戦で修正する時間があることが不幸中の幸いであり、城福浩監督の腕の見せどころになる。
今後の連戦が続く中、山田楓喜がU-23代表参戦で不在。その代わりに、シーズン開幕後に獲得が決まり、3月20日にチームに合流したMFチアゴ・アウベスが働けるかどうか。新加入選手も多いだけに、ルヴァン杯などを利用しながら出場機会の少ない選手たちをしっかりとチームの戦力に加えられるかどうかが、磐田同様に夏場以降の戦いを乗り切るためのカギになるだろう。他クラブの戦力と冷静に見比べると、シーズンを通しての残留争いからは逃れられそうにないが、16年ぶりのJ1舞台でチームの士気は高い。
開幕から旋風を巻き起こした町田だけでなく、開幕前にJ2降格有力候補に挙げられていた磐田と東京Vの昇格組の奮闘が、今季の大混戦の理由でもある。しかし、このままの状況が続くとは限らない。ここから第15節(5月18日、19日)までの約1カ月間で7試合が行われる過密スケジュールの中で、連敗するチームが出てくる可能性がある。まだJ1舞台の戦いに半信半疑の部分が残る昇格組としては、他クラブ以上に重要な1カ月となる。(文・三和直樹)