「片づけのマニュアル本を買ってみたこともありました。でも、とにかく早くなんとかしたいと思って、参加を決めたんです。片づけないと日常がスタートしないという現状を変えたかった」
ひとみさんは、散らかった自分の家に目が慣れていて“風景”のようになっていました。片づけを始めると、まずは家の状態を客観視して膨大な量のモノと向き合い、すべての置き場所を一つずつ決めていきました。
自分の仕事のほか、夫が営む農業のお手伝いもしているひとみさん。経営が傾いている時期が続き、いろいろと手伝う作業も多くて片づけの時間を確保することが難しいときでした。
それでも、やり遂げると決心した通り、隙間時間も使って毎日少しでも片づけを進めました。夫にも「一緒に片づけよう」と声をかけると、自分のモノを手放したり、お互いに片づけたことをほめ合ったり、協力してくれるようになりました。ときには「こうした方がいいんじゃない?」と意見を出し合うことも。
「夫と私は『心地よい環境で暮らしたい』という気持ちがベースにあったので、それに向かって2人でポジティブに片づけられました」
家の中がきれいになっていくと、ひとみさんと夫の仕事にも変化が表れます。
「夫の仕事の関係で新しいビジネスの話が出てきたり、サポートしてくださる方が現れたり、いい方向に向かい始めたんです。私自身も、鍼灸師の知識と経験を活かしてオンラインセミナーを開いてみたら、友人がすごく協力してくれて50人以上集まってくれました」
片づけと仕事は、一見するとまったく異なることのように思えます。でも、片づけで自分の意識が変わったことが、仕事にも影響しているとひとみさんは言います。
「仕事で何かあっても、自分で何とかしようと思ってため込んできました。家のモノも一緒ですよね。でも結局どうにもできなかった。今は解決するべきことが明確になって、人に素直にSOSを出せます。この人に聞いてダメならこうしよう、という次の策も考えられます。片づけを通して、目的意識を持って実際に行動するということができるようになりました」