140キロ程度のストレートでも数字以上に威力があり、絶妙なコントロールで勝負してきたが、年々球威が落ちているように見え、今のスタイルで一軍で勝負するのは苦しくなってきた感は否めない。救いは故障などで離脱しているわけではなく、昨年も二軍では100イニング以上を投げられているという点だ。これまであまり使っていなかった球種に磨きをかけるのはもちろん、大幅なスタイル変更に取り組むなどして、何とか活路を見出したいところだ。

 パ・リーグでまず名前を挙げたのがT-岡田(オリックス)だ。プロ5年目の2010年には33本塁打を放ちホームラン王を獲得。その後は好不調の波が大きいながらも、通算本塁打は204本と長くチームの中軸として活躍してきた。しかし2022年からは大きく成績を落とし、昨年は一軍定着後初となるホームラン0本に終わっている。今年も開幕戦こそ7番指名打者で先発出場したものの4打数ノーヒット、2三振と不発に終わり、その後代打での起用を経て、4月11日に登録抹消となった。

 開幕戦での4打席を見ても、小さく変化するボールになかなかついていくことができず、また速いストレートにも差し込まれている印象を受ける。元々器用なバッターではないが、あらゆる球種に対応するのが難しくなってきていることを考えると、配球の読みなどをより考える必要がありそうだ。数少ないベテランの生え抜き野手であり、ファンからの人気も高いだけに、何とか二軍で状態を上げて一軍復帰を目指したい。

 パ・リーグでもう1人正念場を迎えているのが中島卓也(日本ハム)だ。2015年には盗塁王、ベストナインにも輝き、その年のオフに行われたプレミア12では侍ジャパンのメンバーとしても活躍している。しかし2019年以降は年々出場試合数が減少。昨年は一軍に定着した2012年以来で自己最低となる6安打に終わっている。今年もここまでショートは3年目の水野達稀が先発出場を続けており、ベンチを温めている状況だが、4月7日の西武戦では代打での今季初打席でいきなりヒットを放ち、その後についたショートの守備でも併殺を完成させるなど軽快な動きを見せて健在ぶりをアピールした。

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中島にも“居場所”はあるか