昨年は日本一となったチームの中で苦しんだ阪神・秋山拓巳

 毎シーズン新たな戦力が飛び出してくるプロ野球。今年もドラフト1位ルーキーの度会隆輝(DeNA)、武内夏暉(西武)、西舘勇陽(巨人)などをはじめ、多くの若手が一軍で活躍を見せている。しかし新戦力が出てくるということは、それまで戦力となっていた選手たちの居場所がなくなるということでもある。昨年11月には今年が正念場と見られる選手を5人紹介し、そのうち銀次(楽天)はその後引退を表明したが、他の4人の現状について探ってみた。(文中の成績はすべて4月11日終了時点)

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 まずセ・リーグでここ数年、毎年のようにトレードの噂が絶えないのが小林誠司(巨人)だ。4年契約を結んだ2020年から成績が下降。昨年はわずか1安打に終わり、オフには大幅な減額(1億円→3000万円)での契約更改となった。しかし今シーズンはオープン戦から元気な姿を見せると、4月4日の中日戦でスタメン出場し、先発の菅野智之の7回無失点の好投をアシストした。

 さらに4月11日のヤクルト戦でも菅野とバッテリーを組み、6回には先制のタイムリーを放ち、2試合続けて完封リレーを達成するなど攻守にわたる活躍を見せている。ここまでの起用法を見る限り、菅野が先発の時はスタメンマスクをかぶるという形が定着しているが、2試合続けて結果が出たことは大きなプラスであることは間違いない。この調子が続くようであれば、正捕手の大城卓三の調子が落ちた時には、他の投手と組んで出場する機会が出てくる可能性もありそうだ。

 セ・リーグでもう1人取り上げたのが秋山拓巳(阪神)だ。過去に3度の二桁勝利をマークするなど先発として活躍していたが、2022年からは低迷。昨年は8年ぶりに一軍での勝利なしでシーズンを終えている。今年もキャンプから存在感を示すことができずに開幕を二軍で迎え、ウエスタン・リーグでもここまで2試合、4回を投げて自責点5、防御率11.25という苦しいスタートとなっている。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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